SSブログ

清水宏監督『みかへりの塔 』1941年を見る [ドラマ]

清水宏監督『みかへりの塔 』1941年を見る。

Tower of Self Examination (1941)
https://www.youtube.com/watch?v=eerxNRu9oLg

Yahoo!映画の解説・あらすじには次のように記されている。

《修徳学院長の熊野隆治と小説家の豊島与志雄による同名原作を、清水宏が脚色・監督した社会派ドラマ。小津安二郎や溝口健二に「天才」と呼ばれた清水の代表作の一つで、映画ファンからも高い評価を得た。  非行や盗癖、虚言癖など、問題を抱えた特殊児童200人を収容する学院。ここでは児童を16のグループに分け、それぞれに教師と保母を担当させ、家庭として子供の教育に当たっていた。学院を逃げ出そうとする子供、退院したのに外で生活できず戻ってくる子供など、教師と保母の苦労は絶えることがない。井戸が涸れて水不足に陥った学院は、教師と保母、そして生徒たちが一丸となって、裏山の池から水を引くことになった》。
https://movies.yahoo.co.jp/movie/134402/story/

修徳学院は、実在の施設であり現在も機能しているようだ。映画は、草間先生(笠智衆)が、父兄等?に学院を案内する場面から始まる。
http://www.pref.osaka.lg.jp/shutoku/

その「案内」を聞きながら、「戸塚ヨットスクール」のようなものか・・と勝手な想像をした。いつの時代も「持て余される」子どもがいるものだ。素行がわるく矯正するのが難しく、手に負えず持て余してついに受け入れ先を見出す。持て余している人間にとっては、たいへん有難い施設だ。ところが、持て余されている方にとっては、オソロシイことも生じうる。施設の矯正方法等にモンダイがあって、暴行・監禁・殺人などの社会問題となる。

戸塚ヨットスクール事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%B8%E5%A1%9A%E3%83%A8%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%BA%8B%E4%BB%B6


辛抱づよく待ち続けることができないととてもではないが矯正などできないと実感できる。そのあたりが良く描かれている。

映画のなかで目立つ存在・役は「善雄」と「多美子」である。義男は貧しい母子家庭、多美子は裕福な家庭で身の回りのことは女中がすべてしてくれていた娘。どちらも「手ごわい」子どもである。

その二人が、自部の弱点を悟り、悔悛して、学院を巣立っていくところまで描かれる。

ちなみに子役で存在感を放っている「善雄」役:横山準は「子役の四天王」のひとり「爆弾小僧」の別名。


あの頃映画 みかへりの塔 [DVD]

あの頃映画 みかへりの塔 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2013/05/29
  • メディア: DVD



みかへりの塔 それから―父の鐘・母子の鐘 巣立った子らの心の癒し

みかへりの塔 それから―父の鐘・母子の鐘 巣立った子らの心の癒し

  • 出版社/メーカー: 大阪府立修徳学院
  • 発売日: 2021/02/26
  • メディア: 単行本




共通テーマ:映画

田中絹代・上原謙主演『愛染かつら』1938年を見る。 [ドラマ]

なにかと有名な『愛染かつら』を見る。

主題歌は『懐かしのメロディー』などの歌番組でよく耳にしてはいたが、映画を見るのははじめてである。ただ、あまり期待していなかった。いわゆるメロドラマの典型であるような印象を植え付けられていたし、それを裏付けるようなメロディーから推して、当方の見るシロモノではないように思ってきた。

それでもせっかく『ユーチューブ』にアップされていることでもあり、どのようなモノか話のタネに見てもよかろうと見たのである。

Aizen Katsura(1939)
https://www.youtube.com/watch?v=tkmLdsh3HHw


『ねこむすめ』さんがアップしてくださった映像に付記されている年度は(1939)となっている。映画冒頭、タイトルと共に「新編総集編 A1633」と表示される。

これは『ウィキペディア』の説明による《愛染かつら 前篇・後篇(1938年公開、松竹製作)》に該当するのであろうか。それであれば、さらに次のような説明が付加されている。《監督:野村浩将、主演:田中絹代、上原謙 ※ 前編・後編ともフィルムが完全な形で存在せず、前・後編を再編集した総集編がビデオ化されている》。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E6%9F%93%E3%81%8B%E3%81%A4%E3%82%89

実際に見ての感想は、予想どおりだった。たぶん「フィルムが完全な形で」残っていても、同じであるように思う。第一、聴衆に媚びるツクリであるのが気に入らない。もっとも、媚びられて喜ぶ人がおおぜいいたから大ヒットしたのだろうが、当方は組しない。

原作は川口松太郎、脚本は野田高梧、監督は野村浩将であるという。能力のある人たちばかりである。その才能が「媚びる」方向で発揮されたということなのだろう。松竹から「オールスターでやるのでよろしく。興行成績を上げたいのでよろしく」と釘を刺されて製作に臨んだのかもしれない。当初から、そのように製作されているのであれば、文句のつけようもない。

川口松太郎原作の映画をこれまで2本みている。『近松物語』と『愛怨峡』だ。どちらも監督は、溝口健二である。もし、『愛染かつら』を溝口が撮っていたらどうなっただろうか、と考えてもしようのないことを考えた。

溝口は最初から請けないか、請けても、シリアスになりすぎて、続編を出すようなヒットにはならなかったカモしれない。

溝口健二監督映画「近松物語」を見る
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2020-10-08

溝口健二監督 『愛怨峡』山路ふみ子主演 1937年を見る 
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2020-12-30


あの頃映画 愛染かつら [DVD]

あの頃映画 愛染かつら [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2013/08/07
  • メディア: DVD




共通テーマ:映画

岸井明・高峰秀子主演『虹立つ丘』1938年を見る [ドラマ]

岸井明・高峰秀子主演『虹立つ丘』1938年を見る。

Rainbow standing hill(1938)
https://www.youtube.com/watch?v=3fnVJy4gwvg

原作は北条秀司・岸井良緒となっている。

北条秀司は、代表作に『王将』をもつ劇作家。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9D%A1%E7%A7%80%E5%8F%B8

王将 [DVD]

王将 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2007/09/28
  • メディア: DVD



岸井良緒は、当映画で主演している岸井明の兄:岸井良衞のようだ。その本名は「良雄」である。「雄」を「緒」と変えてクレジットしたのだろう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E4%BA%95%E8%89%AF%E8%A1%9E


兄(岸井明)と妹(高峰秀子)のほのぼのした関係が描かれる。

舞台は、箱根のホテル。そこで「お兄ちゃん」はポーターとして、妹「ユリぼう」は売店の売り子として働いている。

そこに宿泊して健康回復を図っている奥様と「ユリちゃん」はだんだん親しくなる。

実は「ユリちゃん」は・・・

・・という話。


岸井明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E4%BA%95%E6%98%8E

高峰秀子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B3%B0%E7%A7%80%E5%AD%90

dekology
高峰秀子の足跡を辿る:Filmography & Discography & Bibliography, etc.
http://dekology.blog119.fc2.com/


銀座カンカン娘 [DVD]

銀座カンカン娘 [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2021/02/03
  • メディア: DVD




共通テーマ:映画