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夏川静江主演『放浪記』1935年を見る [ドラマ]

Wandering notes(1935)
https://www.youtube.com/watch?v=6zqL04rolpA&t=273s

『小島の春』で女性医師を演じた夏川静江が主演している。監督は木村荘十二。

小川正子原作『小島の春』1940年を見る
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2021-02-13


『放浪記』は成瀬巳喜男監督・高峰秀子主演で1962年にも公開されている。だが、そちらとはだいぶ趣がちがう。夏川主演版のほうが高踏な印象だ。高峰版(予告篇しか見ていないが)は、俗っぽさが出ていて、より原作・実際にちかいのではないか。簡単に言えば「泥くさい」。

Trailer 放浪記 (1962)
https://www.youtube.com/watch?v=ZzFF5X1THcs

夏川版は、フィルター処理されている印象だ。そこが戦前と戦後のちがいかもしれない。倫理観のちがいが出ているのだろう。泉鏡花原作『白鷺』の戦前の入江たか子版と戦後の山本富士子版のちがいも、そこにあるように思う。

泉鏡花原作/入江たか子主演『白鷺』1941年を見る
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2021-02-10


夏川版を見ていると(きっと、それは高峰版でもおなじに思うが)、主人公は「男を見る目がないなあ」と思う。つまらない男に肩入れして騙され、しっかりした男を袖にして損している。

当方は、林芙美子の作品を読んだことがない。それでも、どこで読んだものか忘れたが、記憶に残る林の言葉がひとつある。執筆の満足感について述べた言葉だと思う。

「仕事の終わった朝は、男なんかいらない」。


ついでながら、当該映画1:01:03~1:02:00で、主人公小林(夏川)と女給仲間(おトシ=堤真佐子?)とのやりとりが出ている。そこを見て、吉屋信子と「事実上のパートナーで戸籍上は養女となっていた秘書の千代」との関係は、このようなものではなかったかと思った。なんの根拠もないが、直観である。

吉屋信子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E5%B1%8B%E4%BF%A1%E5%AD%90

以下、当方未読

放浪記 (新潮文庫)

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  • 作者: 芙美子, 林
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1979/10/02
  • メディア: 文庫



自伝的女流文壇史 (講談社文芸文庫)

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  • 作者: 吉屋信子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/13
  • メディア: Kindle版




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