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『情報局制定 必勝歌』1945を見る(その1) [ドラマ]

Victory Song (1945 )
https://www.youtube.com/watch?v=kzG152bKKAU&t=2s

1945年2月完成と字幕が出る。あと半年で終(敗)戦という時期の映画である。

いわゆるオムニバス映画である。前線での出撃命令を待つ兵士たちに隊長(佐野周二)が、ふるさとでの思い出を語らせる。隊長は「しゅっぱあつ」と声をかける。目を瞑った兵士たちの思いに浮かぶ映像が、いくつかの話に分けられて展開していく。そういうスタイルだ。

当時の日本人の暮らしを想起させるものだ。また、こうあるべき(こうありたい)日本人の姿を示そうとしているようだ。

以下、どんな話かおおよそを記す。

第1話 雪国の農村、父親は息子(次男)を諭す
「ショウ太のヤツは敵の軍艦に体当たりしてくれたが、みんなその意気じゃ。わしは野良仕事に体当たりをするし、お前は工場の仕事に体当たりするんじゃ。【息子:ハイ】。ニッポン中のものが一人残らず自分の仕事に体当たりをする。これができればニッポンは負けんぞ。どんなことがあっても負けやせんぞ」。立ち往生した列車を人々は明るくハミングしながら雪かきして救出。09:35~16:55

第2話 雪国に疎開した子供たち
みな空腹だったという話を聞くが、映像の子どもたちは起床ラッパで起きて、持久走を始める。元気いっぱいである。神社で参拝。なにかを唱える。祝詞のようにも聞こえる。それから少し移動した見晴らしのよさそうなところで、「おとうさんおかあさん おはようございます」と皆で唱え、お辞儀をする。「遥拝」という感じである。~19:20

第3話 町内会長(組長)風の人物の活動
鉄兜をもって外出。家内に「留守中退避の際は金づちかシャベルを忘れないよう」注意する。女の子たちがランドセルを背負って登校班で学校に向かう。「・・・山下将軍・・」という歌を合唱して歩く。元気いっぱいである。「マッカーサーを逆落とし」と歌うと、会長風が「いざこいミニッツ、マッカーサー 出てくりゃ地獄へ逆落とし」と続ける。それから各家の前にある防火用水の氷を「これはいかん」と言いつつ、割って歩く。防空壕の点検をしてあるく。~23:10

第4話 少年飛行兵を志願した息子への諭し
竹細工職の父親(河村黎吉)は息子に言う。「お前、少年飛行兵を志願したのか」「なぜわしに相談しないで志願した」「わしがいかんとでも言うと思ったのか 怒るとでも思ったのか」【息子:お父さんが可哀そうだもの】「うちが貧乏だからというのか」「お前が一人っ子だからというのか」「そんなことちっとも可哀そうなことはないじゃないか」「わしはお前が明けても暮れても(模型)飛行機ばっかりいじっているのを、一度でも怒ったことはあるまい。これはいまに、きっと飛行機乗りになる、わしはそう思っておった。それだのにわしに隠れて志願をすることはないじゃないか。わしはそれが腹が立つんだ。少年飛行兵けっこうじゃないか。この頃の新聞を見てごらん。少年飛行兵出身の方が体当たりをして手柄を立てた。お前もそうなんなさい。そうならなきゃだめだ。少年飛行兵けっこうじゃないか。お前背が足りないようだけども体格検査だいじょうぶかな。背い伸び体操やんなさい」。~30:15

第5話 召集令状がきた見合い相手に嫁ぐ決意を示す娘
娘(高峰三枝子)は女子挺身隊に入っている。見合いの相手は、見合いの翌日に召集令状が届き入隊することになる。そのことを考慮して、相手は断りを入れてくる。出征して何かあったときを考慮してのことだ。しかし、娘はそれでも行かせてくれと言う。仲人と両親のまえで、自分の決意を述べる。父親(坂本武)は、相手が片足になってもいいのか、両足なくなってもいいのかと問う。それに対し、娘はそのようになれば相手の「生き杖」になると答える。(ここで相手が死んで、いわゆる「戦争未亡人」になる可能性について言及されていないのは興味深い)。兄嫁(轟夕起子)もおなじようにして嫁ぎ、夫はいま戦地にいる。兄嫁は義妹の見合いについて手紙にしたためる。いつの間にか義妹も大人になっていたと褒める手紙だ。~40:15


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