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大佛次郎原作『雪崩』1937年を見る [ドラマ]

Avalanche(1937)
https://www.youtube.com/watch?v=elV8zS2C4W4

大佛次郎原作の長編を映画化したものだという。

中学生の頃、45年ほど前になるが、おなじく大佛の『帰郷』を読んだことがある。感動した覚えがあるのだが、筋はまったく覚えていない。

帰郷 (新潮文庫)

帰郷 (新潮文庫)

  • 作者: 大佛 次郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/02/15
  • メディア: 文庫



監督・脚本は成瀬巳喜男だという。長編を凝縮したためか、「いかにもセリフ」といったセリフ、「セリフのためのセリフ」が多い気がする。また、ところどころ個人の心理状態が示される。ストップモーションになって内面を吐露するスタイルをとる。変わった演出をしたものだと思う。斬新といっていいのかもしれないが・・。

全体の印象としては安いメロドラマ風である。途中で見るのをよそうかと思ったがひととおりお付き合いした。セリフもスジも現実離れして感じられるからかもしれない。

総じて扱われているのは「生き方」の問題と言っていいだろう。

日下五郎はお金持ちの息子で苦労を知らない。自分の心の赴くままに生きようとする。その父親は、彼を知る人たちから次のように言われている。「封建時代のいい意味での影響がまだ残っている」「他のカネ儲け一途のきたない奴らとはちがっている」「あの男はむかしから気骨があった」。自由奔放に生きようとする息子とその父親との対決が「生き方」の問題をあぶり出す。

日下五郎役の佐伯秀男は、『女の哀愁』でヒロインの幼馴染で、彼女を理性的に諭す役を演じている。あちらとはだいぶ趣の異なる役だ。そして、当該映画のヒロインである霧立のぼるとは一時期結婚関係にあったという。


当該映画について面白い論考がある。日下五郎という「ばかげたナルシストのお坊ちゃん」は、大佛が学生時代に指導者と仰いだ有島武郎を投影しているという内容だ。
以下、参考まで・・

大佛次郎「雪崩」を読む 04 有島武郎の影
http://goodfeeling.cocolog-nifty.com/camarade/2008/03/04_e925.html

以下、当方未読

有島武郎: 世間に対して真剣勝負をし続けて (ミネルヴァ日本評伝選)

有島武郎: 世間に対して真剣勝負をし続けて (ミネルヴァ日本評伝選)

  • 作者: 亀井 俊介
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2013/11/10
  • メディア: 単行本




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