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田中絹代・上原謙主演『愛染かつら』1938年を見る。 [ドラマ]

なにかと有名な『愛染かつら』を見る。

主題歌は『懐かしのメロディー』などの歌番組でよく耳にしてはいたが、映画を見るのははじめてである。ただ、あまり期待していなかった。いわゆるメロドラマの典型であるような印象を植え付けられていたし、それを裏付けるようなメロディーから推して、当方の見るシロモノではないように思ってきた。

それでもせっかく『ユーチューブ』にアップされていることでもあり、どのようなモノか話のタネに見てもよかろうと見たのである。

Aizen Katsura(1939)
https://www.youtube.com/watch?v=tkmLdsh3HHw


『ねこむすめ』さんがアップしてくださった映像に付記されている年度は(1939)となっている。映画冒頭、タイトルと共に「新編総集編 A1633」と表示される。

これは『ウィキペディア』の説明による《愛染かつら 前篇・後篇(1938年公開、松竹製作)》に該当するのであろうか。それであれば、さらに次のような説明が付加されている。《監督:野村浩将、主演:田中絹代、上原謙 ※ 前編・後編ともフィルムが完全な形で存在せず、前・後編を再編集した総集編がビデオ化されている》。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E6%9F%93%E3%81%8B%E3%81%A4%E3%82%89

実際に見ての感想は、予想どおりだった。たぶん「フィルムが完全な形で」残っていても、同じであるように思う。第一、聴衆に媚びるツクリであるのが気に入らない。もっとも、媚びられて喜ぶ人がおおぜいいたから大ヒットしたのだろうが、当方は組しない。

原作は川口松太郎、脚本は野田高梧、監督は野村浩将であるという。能力のある人たちばかりである。その才能が「媚びる」方向で発揮されたということなのだろう。松竹から「オールスターでやるのでよろしく。興行成績を上げたいのでよろしく」と釘を刺されて製作に臨んだのかもしれない。当初から、そのように製作されているのであれば、文句のつけようもない。

川口松太郎原作の映画をこれまで2本みている。『近松物語』と『愛怨峡』だ。どちらも監督は、溝口健二である。もし、『愛染かつら』を溝口が撮っていたらどうなっただろうか、と考えてもしようのないことを考えた。

溝口は最初から請けないか、請けても、シリアスになりすぎて、続編を出すようなヒットにはならなかったカモしれない。

溝口健二監督映画「近松物語」を見る
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2020-10-08

溝口健二監督 『愛怨峡』山路ふみ子主演 1937年を見る 
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2020-12-30


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