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「赤鬼」と呼ばれた女性たち [歴史雑感なぞ]

昨日、顔が赤くなる話を書いた。それは羞恥心からくるものだ。

だが、ほんとうに顔が赤くなって「赤鬼」と呼ばれた人もいる。しかも、女性だ。

原爆の被害者になって、そうなったのを、周囲の人が「赤鬼」と呼んだのだという。そう呼ばれた人は、たくさんいたように思う。

以前にも書いたと思うが、当方は、原爆の写真集を子どもの頃に見た。写真集として市販されているものではなく、書籍としての体裁を整えてもいなかった。ヒモで綴られてまとめられてあっただけだ。図書館の新館が完成して、そのためにこどもたちが旧館から新館へ資料を移動していたときだった。たまたま見てしまったのだ。とはいえ、しばらくの時間それを見ていた記憶がある。幸いなことにモノクロ写真だった。

とにかく、一番印象に残ったのは、みなハダカであったことだ。着衣が消えてなくなってしまったのだろう。そしてケロイドで皮膚がみみずばれになっていた。ミミズと言っても、解剖図に描かれる大腸が皮膚の表面に出てきてしまったようなミミズばれだった。

峠三吉の詩「原爆詩集」から
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2007-08-11

以前、「原爆の図」で著名な丸木位里・俊夫妻の妹で挿絵画家・童話作家の大道あやを取り扱った番組がEテレで放映された。その中で、あやさんは、隣家の奥さんが布団を干しているときに、原爆が落ちたことを語っていたが、首を振って話をやめてしまった。そして、とうとう、語ることができなかった。それで、実際にどうなったのかは、不明なのだが、消えてしまったイメージが当方にはある。あやさんは、爆心地から2,5キロで被爆したという。だから、今までそこにいた人が実際に消えてしまうことはないと思う。たぶん、そのようなイメージを当方がもったのは、写真集で見た死体の着衣が消えてなくなっていたことと関係するかもしれない。ちなみに、丸木夫妻は原爆投下時、広島にいたわけではなく、投下時の話は妹のあやさんから聞いて「原爆の図」を描いていったということだった。

広島の被爆者たちは差別を受け、被害者同士で助け合って過ごすコミュニティがあったようにも聞いている。同じ広島に住みながら、原爆でケロイドになって外観を損なった者とそうでない者との間で、分断が生じていたということになる。

被害者や病人はいたわり同情するのが本筋だと思うが、どうして、そういう思いやりのないことになるのだろう。人間は、他人のために進んで犠牲になるようなこともすれば、他人の傷を深めるようなことを平気でしたりもする。

当時の人たちが、原爆の犠牲者を差別し、そう呼ばれたならたいへんキズつくであろう若い女性を「赤鬼」などと呼んだのには、どのような心理的機序が働いているのだろう。

ふつうなら、とうていできないと思われることをするからには、なんらかの理由があるように思うのだ。「赤鬼」などと言わずにはいられない何かがあったのだろうか。


4000mタワー男:正力松太郎と原子力開発
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2012-05-26


原爆の図―THE HIROSHIMA PANELS

原爆の図―THE HIROSHIMA PANELS

  • 出版社/メーカー: 小峰書店
  • 発売日: 2000/07/01
  • メディア: 大型本



“原爆の図”全国巡回―占領下、100万人が観た!

“原爆の図”全国巡回―占領下、100万人が観た!

  • 作者: 岡村 幸宣
  • 出版社/メーカー: 新宿書房
  • 発売日: 2015/11/01
  • メディア: 単行本



ハイレゾ対応ヘッドホンが届く(坂本龍一のこと) [音楽・ミュージック]

Amazonからヘッドホンが届いた。

以下のモデルだ。




それで映画『母と暮らせば』のサウンドトラックを聴いた。坂本龍一の作品だ。

いいヘッドホンの威力を知った。

これまでは、パソコンにブルートゥース接続したスピーカーを利用してきた。東和電子製のちいさいけれど優秀なスピーカーだ。

Olasonic Bluetooth モバイルスピーカー TW-BT55STW

Olasonic Bluetooth モバイルスピーカー TW-BT55STW

  • 出版社/メーカー: 東和電子
  • 発売日: 2014/04/14
  • メディア: エレクトロニクス



パソコンの音量表示では、スピーカー利用時の10分の1くらいの量しか出せない。そうしないと、ボリュームが大きくなりすぎてしまう。それでいて細部の音、繊細なツクリが分かる。音の遠近が分かる。音の広がりが分かる。遠い世界に連れていかれる感がある。

聴きのがしていた膨大な音があることに気づいてしまった。

サウンドトラックCDは28曲で構成されている。これまでは、退屈な曲としてよく聴かなかったものもある。だが、どの曲もゆるがせにできないものであったのだと感じる。

迫るものがあるのである。

音楽を聴いて、迫るものがない曲など聞いてもしようがない。こうなると、暑いなかでもヘッドホンがはずせないということになる。

優秀なヘッドホンの凄さが分かった。と、同時に「坂本龍一ってやっぱりすごいんだなあ」と、今、思っている。


原爆-鎮魂歌-原民喜-坂本龍一「母と暮らせば」
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2020-08-06


オリジナル・サウンドトラック「母と暮せば」

オリジナル・サウンドトラック「母と暮せば」

  • アーティスト: 坂本龍一
  • 出版社/メーカー: commmons
  • 発売日: 2015/12/09
  • メディア: CD



顔が赤くなる話 

あまりエアコンが好きでない。だから、使わない。窓を開けて風がとおれば、暑さをしのげる。扇風機を回していれば、風がなくてもなんとかなる。いちばん暑い時間帯でも問題ない。

しかし、きのうは扇風機を回してもダメだった。空気自体が高温になっている。熱風をかき回しているだけで、堪えがたい。部屋中の空気が高温では、空気を動かすだけでつらい。銭湯の高温の浴槽に入って我慢しているときに、となりの人間に「オイ動くな」と言いたくなるようなものだ。

それで思い出した。お恥ずかしい話がある。高校時代、物理の時間、熱力学の初歩だと思う。物質の分子を動かすと熱が生じるという話がでた。運動と熱の関係が説明された。授業のあと、友人とふたりで職員室まで先生を追いかけ、質問した。

「風呂の湯を攪拌しても熱があがらず、下がるのはなぜですか」。

先生は、見上げるような男子生徒ふたりに迫られて、圧倒される思いであったろう。どんな難問を持ち出されるかと身構えた風でもあった。ところが、である。

質問を聞くと、先生は本当にあきれた顔をして、言った。

「キミ、それは対流だよ」。

「対流」のひとことで、なんて俺はバカなんだろうと思った。

いっしょに押しかけた相棒は、のちに高知大学の理学部に行って、教職についた。同様の質問を受けて、呆れる立場になったかもしれない。

実に、お恥ずかしい話なのだが、こうしたマチガイをしておくとイイことがある。印象がつよいだけに、記憶に残る。そういう意味で、マチガイをわざと引き起こすような仕方で学ぶとイイという。単語カードを利用して暗記するにしても、ただカードをめくって裏面にある訳語を見るのではなく、答えを予測してからめくる。それで予測がハズれたほうが印象に残って、記憶にも留まるのだという。これも、昨日の更新で取り上げた苫米地英人氏の著作で読んだ受け売りである。

先生を追い詰めたのは40年以前のことだが、いまでも思い出すと顔が赤くなる。

もちろん、暑さによるのではない。

(以下、当方未読)

気象予報士試験 大気の熱力学・力学徹底攻略 (資格試験らくらく合格塾)

気象予報士試験 大気の熱力学・力学徹底攻略 (資格試験らくらく合格塾)

  • 作者: 気象予報士試験対策講座
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2006/11/01
  • メディア: 単行本



物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

  • 作者: 朝永 振一郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/05/21
  • メディア: 新書



物理学とは何だろうか〈下〉 (岩波新書 黄版 86)

物理学とは何だろうか〈下〉 (岩波新書 黄版 86)

  • 作者: 朝永 振一郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/11/20
  • メディア: 新書



黒人は人間? ローマ法王の回答 [スピリチュアルな話題]

アメリカの人種差別デモが勢いを増している。

昨日更新したニューヨーク在住の医師加藤友朗氏が言うように、そこに居なければそのヒドサが分からないものがある。分からなければ、そこにいる人と同様な見方をもったり同情したりすることはできない。できる人は、並々ならぬすばらしい想像力の持ち主ということになるだろう。しかし、それで本当に分かるなら、報道関係の特派員や現地リポーターは不要となるにちがいない。

日本人で、留学などで海外に出た人は、一様に愛国者になって帰ってくるような話も聞く。日本にいては受けることのなかった差別を実際に受け、実際の差別を目の当たりにし、いやおうなく日本人であることを自覚させられ、日本に帰ってくるという話だ。

激しい感情が渦巻いているようすはニュース映像を見れば分かる。が、やはり現地で問題の渦中にある当事者や関係者のほんとうの気持ちを理解するのは、なかなか難しいにちがいない。

人種差別の問題は根っこが深い。

最近読んで興味ふかく思った話がある。もちろん、黒人差別に関する話だ。たしか、苫米地英人氏の本だと思う。氏はカトリック系の上智大学出身なので、その辺の事情・情報に通じていて、書いたにちがいない。書籍タイトルとページ数を、いま提示できないのが残念なのだが、そこには、驚くべきことが記されてあった。

それは、黒人を人間とみなすべきかどうかについて、アフリカに派遣された宣教師が、ローマ法王にお伺いを立てたところ、その回答が、人間として扱う必要はナイという結論だった"という”話だ。(記憶に拠って書いているので「という」と書いておく)。

ネット上にも、同様の内容がでているかと調べたら、「ヤフー知恵袋」に出ていた。ただし、その回答者は、どの会議でいつ宣言されたのかを明確にしていない。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1031567330

また、次の質問への回答をみていくと、当方が読んだ苫米地氏の本に見た内容を裏付けるものに思える。(どちらの質問も、ベスト解答者は同一人物のようである)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1412478959


これまで当該ブログで「ノアの洪水」、「ノアの箱舟」について書いてきた。聖書の記述にある出来事(つまり「ノアの洪水」)を事実であるとすれば、現在地球上にいる人間は皆、ノアの子どもたち、セム、ハム、ヤペテの子孫ということになる。その子孫のなかから、人種的なちがいが生まれてきたことになる。であれば、人種、肌の色、言語は違えど、人類はみな共通の祖先をもつ兄弟のハズなのだ。

そのハズなのだが、実際のところ「人類は兄弟」というのは美しい願望であり標語になってしまっている。それでも、世界をよくよく見ていくと、国籍、人種、肌の色は違っていても、文字通り兄弟のように暮らしている人たちもいる。口先だけでなく、聖書福音書にあるキリストの教えに従っている人たちだ。ちなみに、福音書には次のようなイエス自身の言葉がある。命令といってよい。

あなたたちは,ラビ(先生)と呼ばれてはなりません。あなたたちの先生はただひとりであり,あなたたちは皆,兄弟だからです。また,地上の誰をも父と呼んではなりません。あなたたちの父はただひとり,天にいる方だからです。 また,指導者と呼ばれてもなりません。あなたたちの指導者はキリストひとりだからです。あなたたちの間で一番偉い人は奉仕者でなければなりません。マタイ23:8~11
https://wol.jw.org/ja/wol/b/r7/lp-j/nwtsty/40/23#study=discover

このイエスの言葉に則して言えば、ローマ法王を「父:ポープ」と呼んで最高の権威を与え(「ローマ法王・教皇」は英語でthe Pope、その語源はギリシャ語で「父」)、その人間的(で、聖書に基づかない)見解に従ったことが、黒人差別の(はじめとは言わないまでも)問題を大きくした要因になったと言っていいように思う。

歴史的に見るなら、黒人問題についてのカトリック教会の責任はたいへん大きいと言える。

舊新約聖書―文語訳クロス装ハードカバー JL63

舊新約聖書―文語訳クロス装ハードカバー JL63

  • 作者: 日本聖書協会
  • 出版社/メーカー: 日本聖書協会
  • 発売日: 1993/11/01
  • メディア: 大型本



安倍辞任 筋書きはできている [政治・雑感なぞ]

きょう健康問題もふくめ首相が記者会見を開くというのを聞いていた。公共放送を用いて自画自賛のような会見をなんど聞かされたことだろう。しかし、今度は自身の健康問題を話すという。これはもしかしてと思った。官邸に午前中向かう様子を見た時に、目ぢからがナイと感じた。目が死んでいると思った。

そうこうして、ネット記事を見ていたら、内田樹氏のツウィートが話題になっているのを知った。辞任を前提とした記事を書いてくれと依頼されたような話だった。依頼者側には、確かなスジから、情報が入っていたのだろう。

安倍首相「辞意表明の確率が高い」 予定稿の依頼「暴露」の内田樹氏が物議
https://www.j-cast.com/2020/08/27393024.html?p=all

首相は、要するに、肩を叩かれたのだろう。大叔父佐藤栄作の記録を抜いたのだからもういいんじゃないの・・という話も出たかもしれない。これまでも、首相の病気のことが噂されてきたが、つづけてこられたのは、政権与党内部、自民・公明の支持があったからだろう。ここにきて、いよいよ安倍ではダメだということになったのではないかと思う。

健康問題と言うのは、イイ解決策につながる。病気の人をフツウ人は鞭打たない。同情する。仕方ないと思う。やむを得ないと思う。そんなになるまでよく頑張ったねと言ってくれる。悪く言う人が悪者になる。

筋書きはできている。出来ていなければ、辞任などできないだろう。その筋書きがどのようなものか、誰が主体になって書いているか、興味のあるところだ。

(以下、当方未読)

ふたりの怪物 二階俊博と菅義偉

ふたりの怪物 二階俊博と菅義偉

  • 作者: 大下 英治
  • 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション
  • 発売日: 2019/07/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



NYでコロナに感染した世界的日本人医師からの警告

ヤフーニュースに「NYでコロナに感染した世界的日本人医師からの警告」というタイトル。世界的日本人医師とは誰か?と思えば、加藤友朗氏。

氏は、以前NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で紹介されていた。医学修行に渡米したが、英語が十全でないことを理由に解雇されそうになった。ところが、加藤氏の(他の医師がいやがる雑用と思えるものをどんどん引き受けて頑張っていた)仕事ぶりを見ていた看護師たちが、解雇しないよう訴えてくれて、クビを免れた。多臓器をいっぺんに移植する様子も示された。

2010年1月19日放送「最後の希望 覚悟の手術 移植外科医・加藤友朗」
https://www.nhk.or.jp/professional/2010/0119/index.html

記事からいくらか抜粋すると・・・

私自身感染するまでは甘く見ていたところもありました。経験してみて初めてわかる怖さがあります。

もし私が日本にいてニューヨークのようなパンデミックを経験していなければ、おそらく全く違った見方をしていたでしょう。

言わば「地獄を見た」氏が、次のように言う。

やはり本当の意味でのバンデミックを経験した人間と経験してない人間には感覚的な違いがあるということです。日本の第一波も大変だったと思いますが、ニューヨークが経験したのはそれとは比にならない地獄です。霊安室が足りなくて、病院の前に列をなす冷蔵車に袋に包まれた遺体がどんどん運び込まれていくという状況を生で経験したニューヨーカーからすると、せっかく日本は第一波をほぼ抑え込んだのになぜ、と感じてしまいます。なぜ、そんなに経済再開を急いだのか、もっと慎重に進めるべきではなかったかと思うのです。

 「ニューヨークは徹底した検査で感染拡大を抑え込んだ。ニューヨークを見習え」日本ではそういう報道がされているようですが、これは間違いです。

 ニューヨークが感染拡大を抑え込んだのは、厳格なロックダウンと自宅待機です。そして、ニューヨーカーが厳格な規制を受け入れ、それを守ったのは、彼らが新型コロナ感染症の本当の怖さを知っているからです。

 ですから、経済活動の再開にも慎重です。現在も、レストランやバーでの店内飲食は禁じられています。許されているのはテラス席での飲食のみです。ニューヨークにとって観光やエンターテインメントは巨大産業ですが、ブロードウェイは年内の公演をすべて中止すると決定しました。それにともなってスタッフの大量解雇が行われました。タイムズスクエアのホテルはいまもすべて閉まっています。

下記URLで記事全文を見ることができる。

NYでコロナに感染した世界的日本人医師からの警告
8/28(金) 6:01配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/57bfdce2797745591863f8f200a55fd002d4c58e

(以下、当方未読)

ネイティブを動かすプレミアム英会話50

ネイティブを動かすプレミアム英会話50

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「NO」から始めない生き方 先端医療で働く外科医の発想

「NO」から始めない生き方 先端医療で働く外科医の発想

  • 作者: 加藤 友朗
  • 出版社/メーカー: ホーム社
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: 単行本



きょうもいっぱい汗をかきそうだ

暑くなる日は、朝からそのような予感がある。ななめに入りこむ日差しを見ると、きょうも覚悟しないといけないと思う。

朝は、比較的すずしい。「涼しいうちに勉強したら」と母からよく言われた。しかし、従った記憶がない。覚えているのは、昼の暑いさなか、扇風機をガンガン回して勉強していたことだ。本人は、気にもとめていなかったが、周囲には、「涼しいうちにやればイイのにねえ、バカだねえ」と思わせていたのだろう。

高校時代、英語リーダーの宿題を消化するのに、河村重治郎編『カレッジクラウン英和辞典』を利用した。B5版ノートくらいの辞書で、厚さが7-8センチあった。高校入学と同時に買ってもらった。それとにらめっこしながら、横に扇風機を置いて、夏休みにフーハーやっていたのを記憶する。

(以下の書籍は、その「新装版」「縮刷版」。いずれにしろ中古でしか入手できない。)

カレッジクラウン英和辞典

カレッジクラウン英和辞典

  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 1986/10/15
  • メディア: 単行本



同級の多くは研究社『新英和中辞典』を利用していた。受験にイイのだと言っていた。今では記載されているのが当たり前だが、それには動詞型(S+V+Oといった型)が明示されていて、どのように利用すべき動詞かが分かりやすくなっていた。ところが『カレッジクラウン英和辞典』には、そういう親切な説明はない。他動詞、自動詞の区別があるくらいで、ただ例文がフルセンテンスで列挙されているだけである。当時はまだ、辞書といえば、適当な訳語をみつけるための本という程度の理解しかなかったので、偉そうなことは言えないのだが、それでも同級の連中より苦労したのは確かだ。数多くの例文を見るなかで、その中に埋もれている動詞の位置や他の単語との関係を見ながら考えるわけだが、そうこうする中で、動詞型を自得するよう助けられたように思う。

(「新英和」は今も出版されている。以下は、最新版。友人らが利用していたのは「第4版」)

新英和中辞典 [第7版] 並装

新英和中辞典 [第7版] 並装

  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2003/04/05
  • メディア: ペーパーバック



高校は当時まだ珍しかった私立の中高一貫校で、受験の意識がつよかったからか、多くが「虎の巻」を利用していた。そういうものがあるのを当方は高校に入ってはじめて知った。しかし、教科書ガイドのたぐいを利用したことはない。要するに、当方は要領のわるい学生であった。

汗をかかなくていいときに汗をかき、汗をかかなくていいことに汗をかき、ムダな汗をいっぱい流してきた感がある。要領のイイ連中から見ればバカ丸出しである。けれど、そうしてカタチづくられてきたのが、今ある自分なんだろうなと思う。

で、あれば、なんであれ、ヨシとするしかない。


1:「寄り道」のすすめ(現役東大生安川佳美)
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2012-03-19

3:「寄り道」のすすめ(灘高伝説の百歳教師橋本武)
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2012-03-19-2


英語名人河村重治郎 (三省堂選書)

英語名人河村重治郎 (三省堂選書)

  • 作者: 田島伸悟
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 1983/04/01
  • メディア: 単行本



ヘレン・ケラーとスウェデンボルグ [スピリチュアルな話題]

昨日の更新時、TVドラマ『奇跡の人』(アン・バンクロフト主演)のURLを示すのに、ユーチューブを見た。すると、ヘレン・ケラーの著作にもとづく、かなりしっかりした(つまり正確な、信用していい)ドキュメンタリー番組がアップされていた。それを、見始め、ついつい、全部を見てしまった。予想外のことがあって、惹きつけられてしまったのだ。

ヘレン・ケラー 輝ける魂
https://www.youtube.com/watch?v=HGoYZ4oOmYU

ヘレン・ケラーといえば大きな身体的な障害を克服した偉人というイメージが強くある。それで、もうお腹いっぱい十分な気分になって、あえて伝記など読まずにきた。だが、そのドキュメンタリーで紹介されている、障害を克服していく過程において、その動機付けとなったモノが興味深かった。予想外だった。

それは、スウェデンボルグの影響だ。

スウェデンボルグを「霊能者」と簡単にくくってしまうと、語弊があるかもしれない。が、そう言っていいように思う。日本でいえば、出口王仁三郎みたいなものではないかと思う。イマジネーション能力が強大で、事実でないこと存在しないものまで見(え)てしまうと言ったらいいだろうか。

エマヌエル・スヴェーデンボリ(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8C%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%AA

世の中には、自分のイメージした、そのイメージに取り込まれて、あたかも行って見てきたかのように、まるで事実であるかのように、物語ることのできる人間がいるのだ。それを聞き、読む人間にも、「ウソだろう?」と思わせないくらいに、迫真性をもって語ることのできる人間がいるのである。語るイメージのなかに、人々を取り込んでしまうことのできる人間がいるのだ。簡単に言えば、「幻(覚)」を見せることのできる人といっていい。そうした見てきたもの、見せるものの中には、天国や地獄も入る。

故・筑波大教授の小田晋さんが『人はなぜ、幻覚するのか?―幻覚・妄想を人生に活かす』という本を書いている。そこには、弘法大師空海がそうであったし、目黒祐天寺の祐天上人がそうであったと記されている。

人はなぜ、幻覚するのか?―幻覚・妄想を人生に活かす

人はなぜ、幻覚するのか?―幻覚・妄想を人生に活かす

  • 作者: 小田 晋
  • 出版社/メーカー: はまの出版
  • 発売日: 2020/08/27
  • メディア: 単行本




などと書いていながら、当方は実際にスウェデンボルグや出口王仁三郎の著作を読んだことはない。それにもかかわらず、彼らを怪しげな霊能者あつかいすると、その信者の方たちから、読んでもいないのにとお叱りを受けそうでもあるが、これまで聞き及んだことから推して、そうではないかと思う。

ただ、そのスウェデンボルグの思想(当方から見れば、事実ではなくあくまでも思想)の影響のおかげで、将来目が見え耳が聞こえるようになる時がくることに信仰をもったことが、ヘレンの生きる力、希望となったことは事実のようである。

そのことは、見方を変えて言えば、ヘレン・ケラーは(アメリカ合衆国の人だから、元来どこかのキリスト教会に帰属していたはずであるが、それも含め)既存の教会から慰めを得ていなかったと言えるように思う。得ていたのであれば、スウェデンボルグを待つまでもなく、その影響を受けるまでもなく、既存の教会から聖書の言葉を聞いて慰めと励みを得ていたハズだからである。たとえば、以下のような言葉である。

その時,目が見えない人は見えるようになり,耳が聞こえない人は聞こえるようになる。その時,足が不自由な人は鹿のように跳びはね,口が利けない人は歓声を上げる。イザヤ35:5,6
https://wol.jw.org/ja/wol/b/r7/lp-j/nwtsty/23/35#study=discover&v=23:35:5-23:35:7

しかし、ここまで書いてきて思うに、ヘレン・ケラーはたぶん、聖書の言葉に信仰をもっていなかったわけではないのだろう。スウェデンボルグの聖書解釈が、既存の教会の説明より、彼女にとって納得のいく説得力のある魅力的なものだったということなのだろう。結局のところヘレンは、言わば「キリスト教スウェデンボルグ派」に入信したカタチになったのではないかと、当方は、思う。

ちなみに、ウィキペディアの「ヘレン・ケラー」の項には、スウェデンボルグの影響はひとことも出ていない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%A9%E3%83%BC


以下、蛇足だが・・
キリスト教と称する教派、団体はたくさんある。日本の仏教と同じだ。しかし、聖典として聖書を戴いているのは共通である。創世記からヨハネの啓示(黙示録)に至る66の部分からなる聖書を権威として(外典や独自の追加した「聖書」を用いることなく)、66冊のうちに一貫性、調和ある理解を求めていくなら、さまざまな教派に分かれるようなことにはならないはずである。そもそも、聖書は神の霊感を受けて人間が書いたとされているが、その霊感を与えた神様は唯一なのであるから、分裂しようはずもない。それが、分裂しているのは、教派によって独自の解釈や都合のイイ解釈を加えているからだ。聖書を学ぼうという方は、そうした余分なものを排除して聖書全巻を学んでいく必要がある。そうすれば、おのずと神ご自身のお考えに至るはずなのである。

ユタ州で思いだした、モルモン教
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2012-05-19


舊新約聖書―文語訳クロス装ハードカバー JL63

舊新約聖書―文語訳クロス装ハードカバー JL63

  • 作者: 日本聖書協会
  • 出版社/メーカー: 日本聖書協会
  • 発売日: 1993/11/01
  • メディア: 大型本



「ガリガリ君」・「ガリ勉」・ゲシュタルト

暑い日がつづいている。

むかしはチリンチリンという音をたてて、自転車にのぼり旗を立てて、キャンデー売りがやってきた。アイスキャンデーを鐘を鳴らしながら売って歩くのだ。キャンデーは、いくらしたろうか。いつの間にか、そういう光景は無くなってしまったし、自分でお金を払ったわけではないので覚えていない。なにしろ60年ほど前の話だ。

今から考えるとたいへん不衛生な仕方で売っていた。箱には、ビニル袋にも入っていないキャンデーが、そのまま入っていて、それをおじさんが取り出して渡してくれた。手から手に渡すスタイルである。もっとも豆腐だって、同じようにして売られていた。自転車のうしろの水をはった箱のなかには豆腐がそのまま入っていて、買う側がどんぶりやらボウルやらをもって出向いていた。ビニルのパックになど入っていなかった。

そういう不衛生な時代の子どもにアトピーやアレルギーは無かったように聞く。たしか、寄生虫で有名になった藤田先生が、抗菌社会の弊害について語るなかで、その点が示されていたように思う。あんまり衛生的になると、人間が軟弱になるらしい。

笑うカイチュウ (講談社文庫)

笑うカイチュウ (講談社文庫)

  • 作者: 藤田紘一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/12/03
  • メディア: Kindle版


ガリガリ君をここのところ食べている。暑いこともあって、例年にない消費量になっている。セブンイレブンのアルバイトさんから聞いたのだが、スーツ姿のサラリーマンで、ガリガリ君を毎日買う人がいるという。毎朝、コンビニに寄っては買う。よっぽど好きなのだろう。もっぱらソーダ味を買っているという。当方も、ソーダ味のをガリガリやっている。

ガリガリ君の秘密 赤城乳業・躍進を支える「言える化」 (日経ビジネス人文庫)

ガリガリ君の秘密 赤城乳業・躍進を支える「言える化」 (日経ビジネス人文庫)

  • 作者: 遠藤 功
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版
  • 発売日: 2019/06/04
  • メディア: 文庫



そういえば、昨日、ハイエナのことを書いた。ハイエナが骨をかじる音を動物園の方は「ガリガリ」と表していた。ほかの動画を見ると、ハイエナのマイブームとして丸太をガリガリやる様子も撮影されている。ハイエナが丸太をガリガリやるのは、腹の足しではないのだから、せまい檻に入れられてのストレス反応かもしれない。もしかすると、スーツ姿のガリガリ君のファンは、自分では腹の足しにするつもりで、実はストレス解消のために食べているのかもしれない。

ブチハイエナ キラさんのマイブーム 大宮公園小動物園
https://www.youtube.com/watch?v=aQJWss0iHwA&t=42s

ガリガリやるには、アゴ(顎)の力がいる。今は、むかしに比べて硬いものを食べなくなった。食べられなくなったと言ったほうがいいかもしれない。それで、最近の人はアゴが細くなってとんがった顔立ちになった。アゴが細くなると歯の並ぶスペースが少なくなって、歯並びが悪くなるように聞く。歯並びが悪くなれば、噛むチカラも弱くなる。もしかすると、ハイエナがガリガリ丸太を齧るのは、顎の力を弱めないように本能的にしているのかもしれない。彼らにとって、骨をかみ砕けなくなれば、そのこと自体が命取りになる。

同じように、知的能力を維持するために、わざと難解な本をガリガリ読むといいのかもしれない。自分の能力の枠内のことをするだけでは、能力は維持できるかもしれないが、伸びはしないだろう。ちょっと、ハイレベルな本に手をだして読む。

もっとも最近の脳科学によると、本当に興味をもって見聞きしたことでないと、その人の骨肉にはなっていかないらしい。単なる知識で終わってしまうらしい。脳科学者の苫米地英人氏は〈「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!〉で次のように書いている。

抽象度を上げて知識を増やすことが重要と言いましたが、しかし知識は増やそうとおもって増やせるものではありません。『知識を増やす』という目的で知識を詰め込んでも、それはゲシュタルトの一部にならないのです。知識がゲシュタルトの一部となるのは、その知識を興味を持って取り込んだときだけです。心から興味を持って知識を得ないと、ゲシュタルトを大きくすることにはならないのです。(・・略・・)では、興味を持って知識を取り込めるのはどういう場合かというと、それは単純に趣味の好きなことに没頭しているときか、『心から望むゴールのために知識を取り込んでいるとき』です

ここでゲシュタルトという難しい言葉が用いられている。著者は、バラバラだった情報がつながり、ジグソーパズルの1ピースが全体のなかでどういう位置を占めるのか、そのもつ意義を悟ることといった意味で用いている。部分と全体の関係が掌握できた状態と言えるかと思う。上記書籍の中では、目も見えず耳も聞こえない(盲聾者である)へレン・ケラーが、"w・a・t・e・r”と指文字で表されるモノと井戸から汲み上げられてきたモノとが同一であることを知ったときの感動と一緒に説明されていた(と思う)。それは、世界と自分とのつながりを発見することと言えるようにも思う。

奇跡の人
https://www.youtube.com/watch?v=PhtdEf4nvIY

知識を生きたものとするためには、学ぶ対象がおのずと没頭してしまうほどに好きなものであること、自分のしたい(成し遂げたい)ことに向かって、ワクワクするような仕方で学んでいることが大切であるようだ。

ただのガリ「ガリ勉」ではダメなようである。ガムシャラにやるだけでは、付け焼刃で終わってしまうらしい。で、あれば、ガリガリやる前に、ガリガリするモノを吟味する必要がある。

それと、自分自身をまずは知っておかなければならないということにもなるだろう。


「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!

「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!

  • 作者: 苫米地英人
  • 出版社/メーカー: コグニティブリサーチラボ株式会社
  • 発売日: 2014/04/14
  • メディア: Kindle版



ハイエナのような人 3 :小室直樹

ハイエナのような人 をもう一人思い出した。

社会学者の橋爪大三郎氏から、ノーベル社会学賞、法学賞などあれば、複数受賞してもおかしくないと評された学者だ。橋爪さんの師匠に当たる。

その人の名は小室直樹。昨日更新した故 渡部恒三氏の同郷同窓の親友である。

小室さんは、若いころ「ハイエナ」とあだ名されていた。もちろんイイ意味ではない。アルバイトなどせずに勉学に励んでいたので、たいへん貧乏であった。東大田無寮に住んでいたとき、午後11時以降、誰でも食べていい夕食の残りをガツガツ食べるので「ハイエナ」と揶揄されたという。

むかしからガツガツ食う存在の象徴は「ハイエナ」ということらしい。実際のハイエナは、ガツガツどころか、バリバリ骨も砕いて呑み込んでしまう。腹ペコのハイエナは体重の三分の一程度の量を平らげてしまうということだ。

以下のユーチューブで、骨を砕いて呑み込むハイエナ(体重45キロ程度)の様子が出ている。案内者は、子どもたちに呼びかけて15キロであれば、ハイエナに食べられて何にもなくなっちゃうよという話をしている。

ブチハイエナのガリガリタイム (大宮公園小動物園) 2018年2月4日
https://www.youtube.com/watch?v=ejneZSmi6zc&t=81s

人間の知的能力を咀嚼力として表す場合がある。小室さんの理解力(読解力)もハイエナ並みであったろう。弟子たちには、「なんで3時間で済むものに3日もかける」というようなことを言っていたらしい。咀嚼し呑み込む(理解する)能力が、自身抜群であったから、そういうことも言えたのだろう。

子どもは成長とともに、乳→離乳食→幼児食→大人と同じ食事 となっていく。噛むチカラだけでなく内臓の受容力の成長が伴わないと、順調に大きくなっていくことはできない。ハイエナは、獲物をいつライオンに横取りされるかわからないので、その食べるのも早いという。骨も丸呑みにしてしまうらしい。それはつまり、内臓の受容力、消化力もつよいということになる。

勉学の基礎は読むことだが、読む内容の軟硬にかかわらずバリバリガリガリ食し、それを丸呑みにして消化し、ついには自分のもの( 自家薬籠中の物)にしてしまうことができればいいなと思う。

小室さんは、人間的に可愛い人だった。無邪気だった。子どものようだった。天真爛漫であった。偉そうでなかった。そういう点でもハイエナに似ていると当方は思う。

Why Do Hyenas Laugh?
https://www.youtube.com/watch?v=QMklud_R8os

ハイエナのような人 1
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2020-08-09

ハイエナのような人 2
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2020-08-10


評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才

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  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
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評伝 小室直樹(下):現実はやがて私に追いつくであろう

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