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4000mタワー男:正力松太郎と原子力開発 [歴史雑感なぞ]

本当は・・・、4000mタワーを構想した男:正力松太郎が読売新聞を買収するに際し、支援者となったソノ大恩人である後藤新平について記した後に、その孫息子である鶴見俊輔のことを記すつもりでいたのだ。

読売新聞・TVは、鶴見俊輔に(その恩義ゆえに)足を向けて眠れないだろう・・と。


ところが、当方未読であり、知らなかったのだが、正力松太郎はアメリカのCIAとつるんで、日本に共産主義が浸透しないよう、かえって排除するために読売新聞・TVをを利用したとか、アメリカの原子力開発のお先棒をかついだとか・・書かれた本が多数出ているようだ・・。

まあ、あってもおかしくないことだ、と思う。なぜなら、聞くところによれば、敗戦直後(もちろんアメリカと日本の間で1945年に終わった戦争のことだが)哲学者の三木清は、共産主義に対するアメリカの警戒心から、わざと出獄を遅らされ、そのために獄死することになったというハナシも聞く。

当方、詳しくは知らないが、日本で牧師の子として生まれカナダの外交官となったハーバート・ノーマンは、共産主義者と見なされ、アメリカの「赤狩り」圧力がもとで、自殺に追い込まれたという話も聞く。

かさねて、これは最近NHK教育テレビの黒川創との対談の番組で(あったと覚えているのだが)鶴見自身が語っていたのだが、鶴見が、京都大学にいる頃、アメリカが広島に落とした原爆の被害の様子を写した写真を展示する企画を学生が持ち出し、それに鶴見が協力することとなり、名前を貸したところ、スタンフォードだかハーバードだかドコだか忘れたが、アメリカの大学の助教授職に就く招請がスデニかかっていたにもかかわらず、渡航のためのビザの発給をアメリカ政府から停止されたというのを聞いた。

(いま、確認したところ・・ウィキペディア「鶴見俊輔」の項目には「京大助教授時代、1951年(昭和26年)にはスタンフォード大学から助教授として招聘されたが、原水爆反対運動に関与したことが神戸市の米国総領事館から問題視されて米国への入国を拒否され、その後一度も渡米していない。」とあった)

今、ついでに、思いだしたことだが・・、これも原爆関連のNHKの番組での話だが・・広島被爆者の方の経験だ。まぶたがケロイドでひきつって寝るときもまぶたを閉じることができず、目が乾燥してしまって・・という辛い体験を語っていた女性が話していたことだ・・、印象に残っているのは、身体問題の辛いことだけではない。被爆者は、差別の対象ともなっていた。その方の経験ではないが、ケロイドの顔を見て「赤鬼」と呼ばれてツライ思いをした女性の話もきいているので、その痛みが分かったのだが・・そうした被爆者同士で集まっていたところ、警察から取り締まりの対象となった、という話もされていた。理由は、共産主義者と見做されたということだったと思う。それから、さらに印象に残っているのは、時の首相池田隼人に被害者の立場で陳情、面談したときの、女性の引用した池田の言葉だ。それは、「日本はアメリカに弱いからね」というものだった。

(今、「共産主義」、「共産主義」と繰り返し記してきたが、なんのことはない。アメリカに盾突くもの、背を向けるもの、その権威を損ねるもの、軽んじるもの、支持しようとしないものはミンナ「共産主義」だったのではないか・・と思う。「アメリカに弱い」から、なんでもアメリカの言いなりになってきたというのが実情ではないのだろうか。アメリカやその親派の言う「共産主義」「アカ」の中身は、実はソンナところだったのではないかと、思う)


後藤新平の人を見る眼力はマチガイではなかった。正力はたしかに「巨人」ではあった。しかし、その能力を正力はマチガッテ用いたということか?あるいは、悪用したということか?


最近何度も引用している「我、拗ね者として生涯を閉ず」で読売社会部記者であった本田靖春は、正力と原子力開発の関係については何も記していない。が、いずれにしろ、本田は、正力のメディアの本分・第一義を忘れた在り方に反発して読売をヤメル。

その読売新聞自体は、原子力開発、べ平連、小田真や鶴見俊輔のことを、これまでドノヨウニ取りあげてきたのだろう。その在り様によっては、大恩人後藤新平を「足蹴に」してきたとも言える・・



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