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原爆-鎮魂歌-原民喜-坂本龍一「母と暮らせば」 [音楽・ミュージック]

原民喜の著作を読んだことはない。ただ、彼の人柄について書いたものを読んだ。「ビードロ文士」と称されていたと思う。書いたのは「死霊」で有名な埴谷雄高だ。

埴谷雄高夫人に、カレー食べていかないかと声をかけられて、埴谷亭をたずね玄関を開けたものの、そのまま立ち尽くし、だれも出てこないので、帰ってしまった(ような)ことが書いてあった。あえて自己主張しない、ビードロのような、ガラスのような存在感の作家として、当方の脳裏にイメージとしてある。

その原民喜の詩に最近ふれた。と、いっても、古い話で恐縮で、『母と暮らせば』という映画においてだ。坂本龍一が、その映画音楽を担当している。坂本が原の詩に、曲をつけた。詩の内容はウィキペディアの原民喜の項のなかにも引用が出ているので、彼の詩としてよく知られているものなのだろう。

僕は堪えよ、静けさに堪えよ。幻に堪えよ。生の深みに堪えよ。堪えて堪えて堪えてゆくことに堪えよ。一つの嘆きに堪えよ。無数の嘆きに堪えよ。嘆きよ、嘆きよ、僕を貫け。帰るところを失った僕を貫け。突き放された世界の僕を貫け」(『鎮魂歌』より) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E6%B0%91%E5%96%9C

存在感の希薄な、鉄道自殺を遂げた詩人は「内部において強靭な意志を持った作家だということが垣間見られる」とウィキペディアに記されている。

その詩に、龍一さんが曲をつけている。(以下の動画の2分45秒あたりから)

Ryuichi Sakamoto Talks About His Unique Perspective On Music | Red Bull Music
https://www.youtube.com/watch?v=mJEZFTbxm4o


詩を好んで読まれる方は、書籍に印字された詩句を読むときに、自分なりのメロディーをつけて受け入れているのではないかと龍一さんの曲を聴いて思う。

いい曲だ。


『母と暮らせば』は長崎に落とされた原爆に巻き込まれた母と息子と許嫁の話だ。

きょうは、場所はちがうが、同じく、原爆が落とされた日なので。

以上。


正月映画 『母と暮らせば』を見てきた
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2016-01-02


オリジナル・サウンドトラック「母と暮せば」

オリジナル・サウンドトラック「母と暮せば」

  • アーティスト: 坂本龍一
  • 出版社/メーカー: commmons
  • 発売日: 2015/12/09
  • メディア: CD




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