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カール・ベームとウィーンフィルのリハーサル風景から [音楽・ミュージック]

クラシック音楽が好きで、特に管弦楽曲を好んで聴いている。

午前中、カール・ベームとウィーンフィルのリハーサル風景を見る機会を得た。
https://www.youtube.com/watch?v=GjFPGtGlTxI

曲は、リヒャルト・シュトラウスの「ドン・ファン」。

最近、リヒャルト・シュトラウスを指揮したルドルフ・ケンペのCD‐BOXを入手して聴き始めた。たいへん評判のいいボックスセットで(ありながら、たいへん廉価で)、聴いてみると、評判通りすばらしい。ロマンティシズムとはいかなるものか教授された気分で、他の演奏がやぼったく感じられもする。


Strauss - Complete Orchestral Works

Strauss - Complete Orchestral Works

  • アーティスト: Strauss, R.
  • 出版社/メーカー: Warner Classics
  • 発売日: 2019/03/22
  • メディア: CD



ベームは、作曲者リヒャルト・シュトラウスを個人的に知っている。演奏についても教示されているにちがいない。以前、だれかがシュトラウスの演奏について自説を披露していたら、「シュトラウスはそんなこと言ってないよ」と当人を知るオイゲン・ヨッフムから(目をくりくりさせながら)言われて沈黙してしまった話を聞いた。それで、ベームがどんな風に作曲者の意図を伝達するか、見てみようと思ったしだいだ。

岩城宏之さんの本で、ウィーンフィルが自主運営団体で、指揮者に対して強い発言権をもっていて、フルトヴェングラーもカラヤンも手を焼いた話を読んだことがある。フルトヴェングラーに対しては「そんな不潔な棒では演奏できない」とボイコットしたり、カラヤンに対しては、演奏会本番で、指示されたテンポを無視して演奏してみせ、仕方なくカラヤンが演奏のテンポに合わせて棒を振っていたことなど記されていた。それに対してベームはほとんど信じられないくらいウィーンフィルの面々から敬愛されていたこと。そして、桂冠名誉指揮者とされたことを読んだ。たしか、書いてあったのは『フィルハーモニーの風景』だと思う。(ウィキペディアによると、「名誉指揮者」とはあるが、「桂冠」は付いていない。それでも、名誉指揮者はながいオケの歴史の中で2名だけである。)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%A3#%E5%90%8D%E8%AA%89%E6%8C%87%E6%8F%AE%E8%80%85

フィルハーモニーの風景 (岩波新書)

フィルハーモニーの風景 (岩波新書)

  • 作者: 岩城 宏之
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1990/08/20
  • メディア: 新書



ベームのリハーサルを見て、並々ならぬオケからの敬愛の秘密が分かったような気がする。演奏の指示が細かい。なにより耳がいい証拠だ。そして、その指示に説得力があるのだろう。ウィーンフィルの面々が答え応じるようすから、そのことが伝わってくる。このような関係になるまでに、どれほどの年月がかかるのだろうと思う。

総譜を読み込んで、各パートに関しても個々の演奏者以上の深い理解を得ている必要があるだろうし、個々の演奏家の実際の仕事を知っている必要があるだろうし(動画では、バイオリン奏者のボウイングの仕方について指示していた)、実際に聴衆が耳にするであろう音のバランスを把握している必要もあるだろうし・・・。そして、オーケストラは、そうした知識によって形作られてきた指揮者の人格に心服している必要がある。

ユーチューブには、ありがたいことに、ベームの日本公演のブラームスの1番がアップされている。それを見ると、演奏後、老齢の楽員のアタマを撫でているようすも映っている。ふつうではあり得ない風景だ。

聴いたことのない方は、一度、耳にしてほしい演奏だ。当方にとって、今のところ、これ以上のブラームスの1番はない。

交響曲第1番(ブラームス)
1975年03月17日 東京:NHKホール
https://www.youtube.com/watch?v=OULabXciATk

以下は、公演5日目となった3月22日の録音

ブラームス:交響曲第1番 他

ブラームス:交響曲第1番 他

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2013/02/20
  • メディア: CD




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