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顔が赤くなる話 

あまりエアコンが好きでない。だから、使わない。窓を開けて風がとおれば、暑さをしのげる。扇風機を回していれば、風がなくてもなんとかなる。いちばん暑い時間帯でも問題ない。

しかし、きのうは扇風機を回してもダメだった。空気自体が高温になっている。熱風をかき回しているだけで、堪えがたい。部屋中の空気が高温では、空気を動かすだけでつらい。銭湯の高温の浴槽に入って我慢しているときに、となりの人間に「オイ動くな」と言いたくなるようなものだ。

それで思い出した。お恥ずかしい話がある。高校時代、物理の時間、熱力学の初歩だと思う。物質の分子を動かすと熱が生じるという話がでた。運動と熱の関係が説明された。授業のあと、友人とふたりで職員室まで先生を追いかけ、質問した。

「風呂の湯を攪拌しても熱があがらず、下がるのはなぜですか」。

先生は、見上げるような男子生徒ふたりに迫られて、圧倒される思いであったろう。どんな難問を持ち出されるかと身構えた風でもあった。ところが、である。

質問を聞くと、先生は本当にあきれた顔をして、言った。

「キミ、それは対流だよ」。

「対流」のひとことで、なんて俺はバカなんだろうと思った。

いっしょに押しかけた相棒は、のちに高知大学の理学部に行って、教職についた。同様の質問を受けて、呆れる立場になったかもしれない。

実に、お恥ずかしい話なのだが、こうしたマチガイをしておくとイイことがある。印象がつよいだけに、記憶に残る。そういう意味で、マチガイをわざと引き起こすような仕方で学ぶとイイという。単語カードを利用して暗記するにしても、ただカードをめくって裏面にある訳語を見るのではなく、答えを予測してからめくる。それで予測がハズれたほうが印象に残って、記憶にも留まるのだという。これも、昨日の更新で取り上げた苫米地英人氏の著作で読んだ受け売りである。

先生を追い詰めたのは40年以前のことだが、いまでも思い出すと顔が赤くなる。

もちろん、暑さによるのではない。

(以下、当方未読)

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