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3:「寄り道」のすすめ(灘高伝説の百歳教師橋本武) [ニュース・教育]

’12年前期、東大合格者数で、開成高校(193人)に次ぐ合格者数を誇る灘高(96人)。

その灘高で「伝説の授業」を展開した橋本武氏が、教え子を東大に送り出す秘訣を語っている。

ちなみに、現在の東大総長濱田純一氏も橋本氏の教え子のひとりである。

(以下は「サンデー毎日(3・25)」からの抜粋)

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1冊の文庫本「銀の匙」を3年かけて読み解く「スローリーディング」。スローと呼ばれる理由の一つは「寄り道」。物語世界をたどりつつ、本筋からそれて寄り道をし、芋づる式に知識を増やしていく。

《「寄り道」して=調べる力を付ける》

文化、風俗、言葉(干支、「不惑」など年齢の呼称、漢字表記etc)分からないことは逐一徹底的に調べさせる。

「好きなことならやりたくなる。勉強させるかどうかではなく、好きになるかどうか。好奇心が刺激されれば学ぶことは楽しくなる。押し付けで覚えたことは必要がなくなったらすぐに忘れます。そんな知識では社会に役に立たない」


《「寄り道」して=考える力を付ける》

*新聞連載だった「銀の匙」の各章に“自分なりの”タイトルを付けさせる。
(文学作品・教科書としてでなく、自分だけの物語として記憶されていく。)

*章ごとの要約させる。
(必ず200字。最後に句点をいれさせる)
(文章力と語彙力が見につく。正確に指定字数で収めようとすると言葉や文字に敏感にならざるをえない)


《「寄り道」して=追体験し、五感で学ばせる》

とかく座学では、視・聴覚だけに頼るようになるが、タコを作らせ飛ばす、駄菓子を買って食べるなどして、5感を働かせて学ぶようにさせる。


ソノヨウナ授業を展開した動機

自分が調べた結果を生徒に押し付けるのではなく、その過程を生徒に調べさせたらいいじゃないかと思った。遊びの感覚と同じ。人が遊んでいるのをみてもおもしろくない、自分で遊んだほうがおもしろい。「遊ぶ」と「学ぶ」を一緒にやらせればいいと思って。


「遊び」と「ゆとり教育」のちがい

本当のゆとりは、ただ遊ぶことではない。水準以上のことをした上で生まれる余裕のこと。古文であれば、中学2年生から草仮名と呼ばれる草書体の万葉仮名を読ませた。昔の人と同じものを読むことで、同時代の人たちへの共感や理解が生まれる。(学ぶべき時期を学年や年齢で切り分けず、必要なときに必要な課題を与えた。)卒業生が「灘の国語をやっていたら、東大の入試問題なんて簡単だ」と言っていた。自分の授業で入試問題を扱ったことはない。水準以上のことをしてきたことの証だと思う。


現・東大総長濱田純一氏が恩師:橋本氏に語ったこと

「先生の授業は、大学で原書を読み解く方法と同じだった・・」


伝説の灘校教師が教える 一生役立つ 学ぶ力

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