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『女帝 小池百合子』の書評(呉座勇一)を読んで・・ [政治・雑感なぞ]


女帝 小池百合子 (文春e-book)

女帝 小池百合子 (文春e-book)

  • 作者: 石井 妙子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: Kindle版



応仁の乱など中世のドロドロした世界に通暁した呉座勇一が、朝日新聞(7月18日)に『女帝 小池百合子』の書評を書いている。下剋上の世界を知る歴史家から見ても、小池百合子という人物は特殊異様に見えているようだ。

書評のタイトルは「華麗な自分語りの「演出」に迫る」。

以下に全文引用するが、呉座は「彼女の本質に気づかず、そのポピュリズムに幻惑されてきた日本社会」を嘆いている。そして、彼女ばかりでなく「職業倫理や専門性を持たないタレント学者や自称歴史家のもっともらしいヨタ話が社会的影響力を持つ様を、(評者は)何度も目にしてきた」と書き、結論としては「私たちが対峙すべきなのは、表面的な面白さを追いかける風潮そのもの」と述べている。

26歳元キャバクラ嬢・太田氏当選
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2006-04-24


そうした記述を読んで当方は『南総里見八犬伝(蟇田素藤の乱)』に登場する「八百比丘尼 妙椿(ミョウチン)」を思い出した。八犬士のひとり親兵衛に対する疑念を持つよう里見の殿様に近づき、親兵衛を身辺から遠ざけるように殿様をまんまとだました尼僧である。しかし、結局のところ、妙椿は化けの皮をはがされてメスのタヌキであることが明らかになる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E7%B7%8F%E9%87%8C%E8%A6%8B%E5%85%AB%E7%8A%AC%E4%BC%9D#%E8%9F%87%E7%94%B0%E7%B4%A0%E8%97%A4%E3%81%AE%E4%B9%B1%E3%83%BB%E5%85%AB%E7%8A%AC%E5%85%B7%E8%B6%B3


「女帝」は、「緑のたぬき」(最近は「コロナのたぬき」)として、すでに正体が知れているのに、再び都知事になったというのは、やはり騙す力がよっぽど強いのだろう。

たいへんオソロシイことだが、呉座は、もっとオソロシイのは、『華麗な自分語りの「演出」』に騙される方だと言いたいようである。「眉に唾をつけ」なさいと言いたいようである。

チャーチルの国イギリスは「リアリズム」の国 
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2012-03-02

第二次世界大戦 合本版 (河出文庫)

第二次世界大戦 合本版 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/04/24
  • メディア: Kindle版



医療崩壊を招きながら”火消し役”に化けた!?「コロナのたぬき」小池都知事の変わり身の早さ
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%B4%A9%E5%A3%8A%E3%82%92%E6%8B%9B%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89-%E7%81%AB%E6%B6%88%E3%81%97%E5%BD%B9-%E3%81%AB%E5%8C%96%E3%81%91%E3%81%9F-%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%81%AC%E3%81%8D-%E5%B0%8F%E6%B1%A0%E9%83%BD%E7%9F%A5%E4%BA%8B%E3%81%AE%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%BA%AB%E3%81%AE%E6%97%A9%E3%81%95/ar-BB13Et86

以下は
呉座勇一書評全文
華麗な自分語りの「演出」に迫る
 先日の東京都知事選は大方の予想通り、現職の小池百合子知事の再選という結果に終わった。彼女は「政界渡り鳥」と揶揄(やゆ)され、幾度も屈辱と挫折を味わいながらも、権力の階段を一歩一歩上がっていった。しかし一方で、彼女が語る華麗なサクセスストーリーはいかにも作り話めいていて、しばしば疑惑が取り沙汰されてきた。//  本書は、女性初の総理候補と目される小池氏の素顔に迫ったノンフィクションである。マスコミやネット上では学歴詐称疑惑追及の箇所ばかりが注目を集めたが、本書は彼女の生い立ちまで遡って調べているところに大きな意義がある。関係資料の博捜と多数の関係者への徹底的な取材によって彼女の自分語りに潜む数々の嘘を暴き、ひいては彼女のパーソナリティーを浮き彫りにしている。//  本書が描き出す小池氏は、異常に強い虚栄心と上昇志向を原動力に、コネとメディアを駆使してのし上がっていく人物だ。一見すると陽気で情熱的だが、決して他人に心を許さず、常に損得勘定で人間関係を築く。権力を持つ男性に寄り添う「名誉男性」でありながら、男社会と対決しているように装う。  著者は彼女に批判的だが、彼女のなりふり構わぬ自己演出には凄みすら感じられる。かつて引き立ててくれた権力者を足蹴にするくだりなどは、ピカレスクロマン的な趣がある。//  他人の心情に無関心で、利用価値のない人間にとことん冷淡であるように映る彼女の人間性は、確かに恐ろしい。けれども真に恐ろしいのは、彼女の本質に気づかず、そのポピュリズムに幻惑されてきた日本社会ではないだろうか。//  職業倫理や専門性を持たないタレント学者や自称歴史家のもっともらしいヨタ話が社会的影響力を持つ様を、評者は何度も目にしてきた。私たちが対峙すべきなのは、表面的な面白さを追いかける風潮そのものなのである。



応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

  • 作者: 呉座勇一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/06/08
  • メディア: Kindle版




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