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韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を見る [ドラマ]


パラサイト 半地下の家族 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2020/07/22
  • メディア: DVD



第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールの受賞を果たした。第92回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞した映画であるというので、見た。

はじめは貧乏一家を描くコメディーとして見ていたが、たいへんシリアスな展開になる。もっとも、脚本家はあくまでもコメディーとして描いたに過ぎないのかもしれない。ちょうど、ダスティン・ホフマンの出世作となった『卒業』がコメディーと見做されたのと同じようにである。

しかし総合的な印象をいうなら、やはりシリアスである。映画の展開に驚きながら、原作小説を読んで作者の真意を確かめたく思った。しかし、原作はなく脚本がオリジナルであるようだ。

なんとなくではあるが、サミュエル・ベケットの『エンド・ゲーム』を見たときの印象とかぶるものがある。ドストエフスキーの「地下生活者の手記」や井伏鱒二の「山椒魚」を思いだしもする。

『エンド・ゲーム』S・ベケット公演
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2006-10-09

家族に焦点を合わせてはいるが、それはあくまでも象徴としてであって、もっと大きなモノ(国家や体制)を描こうとしているのかもしれない。いろいろな解釈ができそうである。

映画のなかで重要な要素となっているものに「ニオイ」がある。半地下生活をおくる貧民のからだに沁みついたニオイは、洗ってどうなるものでもないという描き方がされている。貧民がどれほど巧みに富む者をだまし得ても、そのニオイで悟られてしまう。そのために貧しい者は富む者の間に入っていけないと感じるし、富む者はなんとなしに違和感をおぼえる。要するにニオイによって両者は分断されている。付き合いはそれなりにできるものの、根っこのところで分けられてしまう・・・

今さっき一度見たきりで、なんだか良く分からない。よく分からないが、分からないので退けたくなるかというと、そうではなく、真意を確かめたくなる映画である。

半地下の家は日本にあるのだろうか。映画「マイフェアレディ―」の中でそうした場面が出ていた。やはり貧しい家庭の住まいを示していた。当該映画の中で貧民一家が家庭教師や運転手、家政婦として潜り込んだお金持ちの家は、有名な建築家の設計したものだ。その家には、地下室がある。そこは、北(朝鮮)の攻撃からの核シェルターとして設計されたものだが、金持ち家族はまったくそのことを知らない。そして、住人ではナイ人間たちの隠れ場になっている。地上は金持ちの住まいとなり、地下は怪しげな人間の隠れ場となり、その家ではないが、主人公家族の家は半地下にある。大雨が降れば水浸しになるような場所だ。ある意味、地下室より安全性に乏しい。・・そうしたこともまた、なにかしら含意されているのだろうか・・


自由学校 松竹版 / Jiyu Gakko (1951) [カラー化 映画 フル / Colorized, Full Movie]
https://www.youtube.com/watch?v=EthT7ZBJZnA


自由学校 [VHS]

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  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • 発売日: 1991/09/22
  • メディア: VHS



日本の「アジール」を訪ねて: 漂泊民の居場所

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  • 作者: 功, 筒井
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/10/24
  • メディア: 単行本




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