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せりふと歌唱(『南の風』に見る高峰三枝子) [音楽・ミュージック]

『南の風』で、佐分利信と高峰三枝子のからむシーンがある。

『南の風』South Wind (1942)
https://www.youtube.com/watch?v=sen1MH5RTzA&t=696s

11分50秒~19分20秒

おでん屋の開店まえ、厨房で仕込みにかかっている高峰に佐分利が言葉をかける。

佐分利の言葉に仕事の手を休めることなく高峰が「そうですか」と応える。

そこを見ると、高峰が歌手としても成功した理由はこれかなと思う。

以下のような会話がなされる。

*********

「君はむかしから怒りっぽかった」

「そうですか」

「むかしそっくりだ」

「そうですか」

「ぼくのうちに来てよくトランプをやったね。君は負けるとすぐそんな顔をした。いまのその顔だ」

「そうですか」

「君の鼻のかっこのせいもあるかな。君がすましていると怒っているようだ」

「そうですか」

*********


高峰は「そうですか」と同じ発話をするが、そのニュアンスがひとつひとつ異なる。やりとりの間合いも素晴らしい。

せりふを語るにも音楽的な資質が関係してくる。それがうまく出来る人は、こころを動かす歌唱もできるということになるのだろう。微妙な感情表現ができるということだ。



この場面をみると、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番冒頭を思い出す。

Lang Lang - Rachmaninoff Piano Concerto No.2
https://www.youtube.com/watch?v=S29wlq6J0iY

Khatia Buniatishvili plays Piano Concerto No. 2 by S. Rachmaninov
https://www.youtube.com/watch?v=tSvq_GnGfTI


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&ショパン:ピアノ協奏曲第2番

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&ショパン:ピアノ協奏曲第2番

  • アーティスト: カティア・ブニアティシヴィリ
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2020/12/09
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