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アイルトン・セナの認知能力(中島悟氏談話から) [スポーツなぞ]

当方、知的能力はもちろんだが、身体能力の向上にも関心がある。その関係でこれまで高岡英夫、野口三千三、斎藤孝らの著作に親しんできた。

究極の身体 (講談社+α文庫)

究極の身体 (講談社+α文庫)

  • 作者: 高岡 英夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/20
  • メディア: 文庫



昨日だったか、中島悟がアイルトン・セナについて語った記事を読んだ。中島悟は日本人初のF1ドライバーだ。今では、中嶋一貴の父親と言った方が、はやいにちがいない。

などと言うと、いかにもセガレ一貴を知っているようだが、つい最近、悟氏のセガレであると知って、「血は争えない」と感じ入ったしだいだ。

その父親サラブレッド悟氏が、アイルトン・セナについて書いているのを読んだ。セナが、身体能力というより認知能力に優れている様子を知ることができた。

以前、俳優三船敏郎の動きについて書かれていたのを読んで驚いたが、同様の驚きをおぼえた。

黒澤明の「三船敏郎」評から(その「動き」について)
https://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-08-16


アイルトン・セナ 神ががりの予選ラップinモナコ オンボード映像
https://www.youtube.com/watch?v=jAv_dMdBLGU

F1 1987 - Monaco Grand Prix (Full Race)
https://www.youtube.com/watch?v=S8EFFnHKnBo

以下、『中嶋悟氏が語るセナの「秘密」』から引用
http://news.livedoor.com/article/detail/8796728/

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セナは運転がうまかったですが、何か特別なドライビングをしているのかといえば、決してそうではありません。僕の運転の仕方とも変わりありません。ただ、僕が1秒間で5つしかマシンの操作をできないとしたら、彼は同じ時間で8つぐらいの操作ができる。言い換えると、僕にとっての1秒はセナにとって2秒ぐらいに感じているんじゃないか、ということです。

きっと彼の目には、物事の動きが現実よりもすごくゆったりと見えていたと思います。そうじゃないと、ガードレールに囲まれた狭いモナコの市街地コースをあんなに速いタイムで走ることなどできるわけがありません。理屈が合わないんです。実際にモナコを走ると、次から次へとブラインドコーナーが迫ってきて、それに対応するだけで精いっぱいです。でも、きっとセナは周りがよく見えていて、僕が想像もつかないところまでちゃんと絵を描けているんです。だから、見えない壁の向こうにものすごいスピードで突っ込んでいくことができるのだと思います。

普通の自動車の運転と、レーシングカーを走らせることは大きく異なります。レーシングカーを運転する時には"時間を削ること"が求められるのです。そのためには、前もって行動するしかないのです。

よく「レーサーは反射神経がよいので速く走れるんじゃないですか」と言われますが、そうじゃないんです。反射神経は僕もセナもそんなに変わりませんし、F1のレースではパッと目の前の状況を見て、それに反応するのではとても間に合いません。

たとえば、F1ドライバーはモナコGPが開催される市街地コースのトンネルを280キロ以上のスピードで駆け抜けていきます。トンネルを抜けてパッと視界が明るくなり、次のコーナーの入り口が見えます。でもコーナーが見えたあとに反応しても遅いんです。コンマ数秒で壁にゴンッとぶつかって終わりです。見えてから反応するのではなく、レーシングカーの運転では自分で時間をつくっていくんです。

モナコのような市街地コースでは、コーナーの先がまったく見えません。見えないけれども、次に起こることを予想して仕掛けていくのです。「コーナーの先は見えないけれども、クルマがこういう動きをしているので、このままで走って行けばカーブをうまくクリアして、壁の10センチ横を通ることができる」とかね。そうやって実際に目に見える前に反応して時間をつくっていくことで、タイムを削り取ることができるのです。

とはいえ、モナコはでひとつのコーナーをクリアしても、次から次へとコーナーが連続していきます。僕からすれば四六時中綱渡りしているようなものでした(笑)。だから何度も言いますが、セナの目にはよっぽど周りがのんびり見えていたんじゃないかと思うのです。

きっと他のスポーツでも、セナのようにスーパースターと言われる人たちは、同じような感覚を持ち合わせているのだと想像します。視野が広く、他の選手には見えないものが見えている。さらに言えば、目だけじゃなく、頭の回転や記憶力などもうまくリンクさせながら機能しているのだと思います。

「ゾーン」の脳波!?
https://diamond.jp/articles/-/156502?page=2

ナイジェル・マンセルの話 「時速300キロで走るには特殊な才能が必要なんだ。すべてをスローにとらえること。一流のドライバーなら時速300キロで飛ばしても、直線やコーナー進入時では90キロにしか感じられない。ドライバーなら当然だよ」(『ナイジェル・マンセルストーリー』5分25秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=YeY7jFi86_8&t=1293s


身体感覚を取り戻す 腰・ハラ文化の再生 (NHKブックス)

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