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日本昔ばなし 市原悦子 差別用語を用い、NHKでご難 [言葉*ことば*コトバ]

直接見ていないのだが、女優の市原悦子さん(79)が出演したNHKの番組で「かたわ」「毛唐」という言葉を口にし、アナウンサーが後で謝罪する一幕があったそうである。

以前、水木しげるサンが、やはりNHKのインタビュー番組に出演し、遠野の河童の話をした際、きちがいを連発し、きちがいと言うたびごとに、女性アナウンサーが、お詫びのひとことをはさんでいるのを、直接見たことがあるが、ニュース記事によると・・・

いずれも体が不自由な人や外国人に対する表現で、メディアなどでは使用が避けられている。しかしネット上では市原さんの発言を非難する声はほとんどなく、「前後の文脈上問題ない」「差別意識はない」と擁護する意見が多い

・・・と、ある。

市原悦子がNHK番組で差別語連発 有働アナ謝罪、視聴者からは擁護や評価の声
J-CASTニュース 5月23日(土)17時38分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150523-00000003-jct-soci


公共放送で、それを見ている視聴者のなかには、差別用語の対象となる方(めくら、おし、びっこ、かったい、きちがい・・)が実際にいて、差別を受けたとの感情をもち、直接NHKに抗議してくることも多々あるのだろう。だが、しかし、特に、民俗学の範疇にある事象は、古来の言い方が残っていて、古老にインタビューしたなら、むかしからの表現がぽんぽん出てくるだろう。むかし話や妖怪談義などもその範疇だろう。差別語であるからこそ、リアリティーをもって語れるし、リアリティーをもって受けとめることができるということもある。古来からの感情をもこめて正確に表現しようとすると、他の言葉では代替できないということもありうる。

これは教科書に出ていたことだ。うろおぼえだが、女性詩人のダレだったか、「美しいことば」というテーマであったように思うのだが、正確なことばはうつくしいという論点で書いていた。そこでは、教養を感じさせる老夫人に、ご主人の安否を尋ねた際、「ちんぼにできものができて」と答えるのを聞いて、幼児語が用いられて、どぎまぎしたものの、聞き手によけいな憶測をさせない、いい表現であると思う・・というようなことを書いていた。

差別するための差別発言がある。事実であるなしは別にして、相手をオトシメルための発言だ。良心にしたがって発言しているだけなのに、「アカ」というレッテルを貼ったりする手合いの取り扱いだ。単におとしめられるどころか、チャップリンは、「黄金狂時代」「独裁者」を発表したことを理由に「赤狩り(レッドパージ)」にかかって、自由の国アメリカを追放されたのではなかったか。最近、どこぞの国の首相も、「日教組」という言葉をそのように用いなかっただろうか。「売国奴」「自虐史観」。中身など関係ナイ。気にくわない相手を、決めつけて、オトシメ、自分を有利な立場におこうとするたぐいの発言である。

赤狩り(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E7%8B%A9%E3%82%8A

日教組ヤジは氷山の一角…安倍首相こそ「息吐く様に嘘つく」
日刊ゲンダイ 2015年2月24日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157480


「おりこうさんネ」と言って、相手をバカにすることもできる。「ばばあ」と言って老婦人をいたわることもできる。

人によって好き嫌いはあるだろうが、落語家?の毒蝮三太夫が、スーパーを回って歩くラジオ番組がある。いまでもやってるかどうか知らないが、長くつづいたところをみると、人気番組ではなかったのだろうか。そこで、毒蝮は老婦人たちをつかまえて「ばばあ、長生きしろよ」とやっていた。その発言を受ける老婦人たちは、毒蝮から「おばあちゃん、長生きしてね」なんていわれたら、気持ちがわるくてしようがなかったろう。

問題とすべきなのは、発言ソノモノ(表現)よりも、そこに込められた意図、発話の動機であるように思う。それを、度外視して、言葉だけを取り上げ、訂正やら反省やらする(促す)のは、ヘンに思える。差別用語を用いることと、実際の差別は、分けて考える必要がある。その点をこそ、差別すべきといえる。

そもそも差別用語は、放送各社の内部規定で定められてあるモノであるように聞いている。そうであれば、各社ごとに差別用語とされるものがあり、各社にとっての差別用語は、いわゆる自主規制対象用語ということになる。であれば、その旨を記してテロップで流せばいいように思う。今、現に、発話している最中に、そのつど訂正されるのでは、人前で話し演じる超ベテランといえどもカタマッテしまう。

市原さん、たいへんお気の毒であります。お疲れ様でした。


きだみのると「気違い部落**」
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2007-03-15


やまんば: 女優市原悦子43人と語る

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女優の市原悦子さん(79)が出演したNHKの番組で「かたわ」「毛唐」という言葉を口にし、アナウンサーが後で謝罪する一幕があった。

「子ども」は「子供」で統一します 文科省「差別表現でない」と公文書で使用

 いずれも体が不自由な人や外国人に対する表現で、メディアなどでは使用が避けられている。しかしネット上では市原さんの発言を非難する声はほとんどなく、「前後の文脈上問題ない」「差別意識はない」と擁護する意見が多い。

■「やまんば」への思い入れ語る場面で…

 市原さんは2015年5月22日に放送された「あさイチ」にゲスト出演。「まんが日本昔話」のナレーションを務めた思い出話に話題がおよび、「一歩一歩やっていくほかない」「風が吹いたらいい季節だなあと感じるようになった」と同番組に教えられたことが多いと振り返った。

 続けて、一番好きな話は「やまんば」だとし、

  「私のやまんばの解釈は世の中から外れた人。たとえば『かたわ』になった人、人減らしで捨てられた人、外国から来た『毛唐』でバケモノだと言われた人」

と発言。世間から疎外され、山に住んでいた人たちが「やまんばの原点」になったと思うと説明した。

 また、やまんばのキャラクターが「魅力的で大好き」な理由について、

  「彼らは反骨精神と憎しみがあって他人への攻撃がすごい。そのかわり心を通じた人とはこよなく手をつないでいく。その極端さが好き」

と笑顔で語った。井ノ原快彦さんも「虐げられているから愛情を欲しがるんですね」と応じ、スタジオは「日本昔話」トークで盛り上がった。
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謝罪後、市原さんの表情がこわばった

 しかし番組の終盤、有働由美子アナが、

  「さきほどのコーナーで『かたわ』『毛唐』という発言がありました。体の不自由な方、外国人の方を傷つける言い方でした。深くお詫びします」

と謝罪。するとツイッターなどネットには番組の対応を疑問視する意見が相次いだ。

  「『当時差別された人』の文脈で使ってるんでまったく問題ないと思う」
  「昔話の解釈にちなみ、あえて使った表現だろう。綺麗な表現に置き換えたら、本質が伝わらない」
  「番組は見たけれど、悪意が無い分さほど気にならなかった」

など、あくまで「表現の一手法」「悪意はない」とする意見が多かった。

 また有働アナの謝罪後、市原さんの表情がこわばっていたと指摘する声があり、同情する書き込みも目立った。

 今回のような言葉は「放送禁止用語」などと言われるが、法規制がある訳ではなく、あくまでテレビ局などの自主規制による。

 たとえばNHKで「片手落ち」が使われなくなった経緯について、経済評論家で元職員の池田信夫さんは

  「けしからん」

と抗議を受けたからだと2006年のブログで明かしている。NHKは「かたおち」と言い換えている例が多いようだ。

 また作家の乙武洋匡さんは11年6月、ツイッターで、

  「『カタワ』はNGで、『障がい者』はOKと誰が決めたのか。誰の感情に合わせた線引きなのか。まったく分からない」

と疑問を呈したことがある。

 なお市原さんの発言に「浅草キッド」の玉袋筋太郎さんはツイッターで「かましまくる!」とはしゃいだ。自身もデビューから15年に解禁されるまでNHK出演時に番組から自主規制で「玉ちゃん」と名乗らされていた不満があったのかもしれない。

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