「ダボスマン」を読み始めた [本・書評]
ダボスマンとは「地球上で最も豊かで、最も権力を持つ」男たち。ダボス会議に出席する人々のこと。ダボス会議とは「地球上で最も富める人々が一堂に会する最大級の集い」「世界経済フォーラム」の年次総会こと。
そこで行われることは何かというと・・
「既得権益の確保に最大限の力を費やしている人々が、変革への誓いを崇高に唱えてみせる」こと。
対社会的に、実際になされていることが、どういうことかというと・・
以下の著名な人々がやってきたこと・・。
「かつて富裕層への増税案を『ヒトラーがポーランドに侵攻したのと同様の』戦争行為とまで言ったスティーブ・シュワルツマンのような投資ファンドの大物は、医療にかかわるコストを削減することでアメリカの医療保険制度を瘦せ細らせながら、病院への投資で利益を吸い上げてきた。合衆国最大の銀行を切り盛りするジェイミー・ダイモンは、マンハッタンの高級住宅街パーク・アベニューの住人への減税が実現するよう働きかけつつ、そのために必要な原資は、基本的な政府サービスを弱体化することで捻出させた。世界最大の不動産投資家であるラリー・フィンクは、彼自身が心を悩ます点として表向きは社会的正義を語りながらも、パンデミックの最中に貧しい国から、ありえないほどの債務を搾り取った。」・・このあと、アマゾンのCEOジェフ・ベゾスへの言及がなされる。
彼等の”業績”がプロローグに略述される。
そして、著者は本書の目的を次のように示す。
「私の役目は、読者がダボスマンを種族として理解するのを助けることだ。『彼』は、特異な性質を持ち、何のためらいもなく攻撃する肉食獣のような存在で、常に自分の領域を広げ、他者から栄養を奪い取ろうと狙っている。にもかかわらず、誰にとっても”友人代表”として振る舞うことで、反撃を受けないようにしている。/ この特色がどこよりも生き生きとした形でみられるのが、ダボスでの世界経済フォーラム年次総会である」。
要するに、怪物の正体を暴くことであるようだ。
「我々を取り囲む経済の現状は、決して偶然の所産ではない。システムを築いた人々が、自分たちの利益にかなうように意図して設計した結果なのだ。我々が暮らす世界はダボスマンによって設計され
、ダボスマンにさらに大きな富をもたらすように仕組まれている」。
さらに、著者はいう。
「この本で私は、世界のあちこちでみられた右翼ポピュリスト運動の興隆について、背後で決定的に作用したのが、ダボスマンの絶え間ない略奪であると論じる」。
この世界は特定の者たちがシステムを構築し、既得権益の維持のためにシステムを動かしている。それはすべての人の幸いのためではない。
表向きはキレイだが、内側は・・・
なんだか、イエスキリストが当時の宗教指導者について指摘したことと重なってくる。