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最近買った本(『編集者、それはペンを持たない作家である』) [本・書評]

最近めずらしく本を買った。メルカリで入手した。これまではアマゾン・マーケットプレイス経由で入手してきた。ところが、最近買おうと思って本の価格を調べると、定価より高かったりする。なんでも聞くところによると、アマゾンの正規品が品切れになったときに、やむなくアマゾン・マーケットプレイスを利用せざるをえなくなり、定価より高額であっても買う人がいるからだそうだが、本当だろうか。

そこをいくとメルカリはだいぶ入手しやすい値段で出品されている。最近買った本は1500円のが900円で出品されていた。帯のついた綺麗な本で、新品未使用ということだった。それで購入すると、偽りのない印象のモノが届いた。新刊書店で見るのと遜色ない本を600円安く入手できた。元値の4割引きである。有難い話である。しかし、これがまかり通るなら、新刊書店は苦しくなるに決まっている。

入手したのは以下のイメージの書籍である。ご存知の方はご存知と思うが、岩田一男さんの『英語に強くなる本』などミリオンセラーを複数出したカッパブックスの産みの親で、2代目光文社社長:神吉晴夫(カンキハルオ)の本である。「ああ、なるほどこの熱意と考えで取り組めばイイ(しかも売れる)本ができるだろう」と思える内容である。


編集者、それはペンを持たない作家である 私は人間記録として、自分の感動を多くの読者に伝えたかった。

編集者、それはペンを持たない作家である 私は人間記録として、自分の感動を多くの読者に伝えたかった。

  • 作者: 神吉 晴夫
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2022/06/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



神吉晴夫(カンキハルオ)は1901年生まれである。明治34年にあたる。昭和天皇と同年の生まれである。ちなみに、うちの爺さんと同じ生年である。活躍したのは戦後、昭和の時代である。

時代もあるのだろうが、人間関係が密である。松本清張をカッパブックスに引っ張りだして『点と線』を書かせたことや新人作家を見出して自社で育てていくその過程がオモシロイ。なにしろ熱い。その熱さにあやかりたいと入手したのである。

そういう本を、定価の4割引きで買って喜んでいるようではどうかねと言われそうだが、懐がクールなのである。お許しねがいたい。

本書『復刊に寄せて』という一文がある。「10万部を越えればベストセラーと言われる出版業界で、100万部を超えるベストセラーを3作品も世に送り出す編集者・柿内芳文さん。神吉晴夫という存在は、柿内さんの原点であり、「僕のからだの一部は神吉晴夫でできている」「自分は神吉イズムの継承者」と語るほどの存在だと言います。平成・令和のベストセラー編集者である柿内さんは、昭和のベストセラー編集者から何を学んだのでしょうか。そして、悩み多き未来のベストセラー編集者が、本書から学べるメッセージとは」。そして、このあと、柿内氏へのインタビューがあり、本文に入る。

本書をとおし、裏方としての編集者の仕事がどのようなものか分かるし、ベストセラー、ミリオンセラーは偶然の所産ではないことが分かる。また、昭和の時代のカッパブックスの愛読者であれば、自分の手にし愛読した本を懐かしく思い出す機会となるにちがいない。


俺は現役だ―カッパ大将発言集 (1964年)

俺は現役だ―カッパ大将発言集 (1964年)

  • 作者: 神吉 晴夫
  • 出版社/メーカー: オリオン社
  • 発売日: 2022/08/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



いま、息をしている言葉で。 「光文社古典新訳文庫」誕生秘話

いま、息をしている言葉で。 「光文社古典新訳文庫」誕生秘話

  • 作者: 駒井 稔
  • 出版社/メーカー: 而立書房
  • 発売日: 2018/10/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




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