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吉屋信子原作・高峰秀子主演『花つみ日記』1939年を見る [ドラマ]

吉屋信子原作・高峰秀子主演『花つみ日記』1939年を見る。

Flower picking diary(1939)
https://www.youtube.com/watch?v=zfeJb0NH3m8&t=54s

『花つみ日記』(はなつみにっき)は、吉屋信子原作の1939年の日本映画である。大阪の宗右衛門町を舞台に、花街の置屋の娘栄子(高峰秀子)と、東京からの転校生みつる(清水美佐子)との友情の物語。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E3%81%A4%E3%81%BF%E6%97%A5%E8%A8%98

全体の印象としてはミュージカルである。冒頭、女学校で校庭を掃除する女学生たちの歌声が取り上げられる。彼女たちの憧れの先生はピアノで歌う。

ちなみに憧れの先生役:葦原邦子は、「元宝塚歌劇団星組トップスター。本名は中原 英子(なかはら えいこ)、旧姓は岡本。夫に画家の中原淳一・・」とウィキペディアに出ている。

原作の吉屋信子は『少女小説』というジャンルを確立した一人であり、その「第一人者」であるという。『ウィキペディア』の「少女小説」の項には以下のように記されている。

《大正時代に入ると少女向けの雑誌は隆盛を迎える[8][5]。なかでも吉屋信子の小説と中原淳一の挿絵は少女たちから絶大な支持を獲得した[9]。吉屋が1916年(大正5年)から『少女画報』に連載した「花物語」は、花をモチーフに少女たちの友愛を描き、7話完結の予定が8年間続くほどの人気を誇った作品である[10][11][12]。本作は川端康成(中里恒子との共同執筆)の「乙女の港」など「エス」作品の原型となり、その影響は現代にまで及んでいる》。

であるから、本作品は少女小説の大家とそのコンビをなす挿画家の妻であり宝塚トップスターによる作品と言えなくもない。さらに、穿った見方をすれば、本作品は、《少女歌劇のPR》的役割を果たしていたのかもしれない。

宝塚歌劇団の創設者『小林一三に縁のある著名な人物100名』の中に吉屋信子が入っている。その紹介サイトに、吉屋信子の文章が以下のように引用されている。

《それ以来、小林氏は私をその少女歌劇のPR用に利用(?)した。永田町の東京邸へ招いて当時のスター葦原邦子と対談というようなことがはじまり、やがて私は遠く宝塚にまで呼ばれて、お利口で美しいスター連に囲まれたり、その養成所の学校を参観させられた。そのお礼ごころかどうか、時々私の小説を読んだ批評を大阪の本邸雅俗山荘から寄せられたり、古代裂の袋入りの小さな古鏡などを贈られた》。(吉屋信子「小林一三」『大人の本棚 私の見た人』みすず書房、2010年)。
http://www.hankyu-bunka.or.jp/ichizo/network100/literature/

吉屋の原作のタイトルは『天国と舞妓』のようである。『天国』との絡みであろうか、当時の大阪の教会の内外の映像が紹介される。いわゆる「少女趣味」の一端を教会が担っていたのだろう。

総じて、高峰の演技が光る映画だ。やはり、いい役者だったのだと思う。仲たがいが元で女学校を退学し、舞子姿で参詣した土地で、絶交した親友とたまたま出会ってしまったときの表現は見事である。
50:30~

高峰役の少女は、このあと病気になる。原作では病死することになるのだろうか。映画では不明のまま終わる。

花物語 上 (河出文庫)

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花物語 下 (河出文庫 よ 9-2)

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