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1938年記録映画『上海 -支那事変後方記録』を見る [ドラマ]

A Record of Shanghai(1938)
https://www.youtube.com/watch?v=sZVkUSbuH-o&t=1968s

ねこむすめサンのユーチューブ投稿動画を古い順に見ている。めずらしいものをたくさん上げてくださっている。今回見たのも、そうした一つだ。

"シャンハイ"。音韻が明るい。輝かしいイメージさえ浮かぶ。「シャンハイ租界」と聞くとなにかハイカラな印象がある。

上記映画では、イギリスが資本投下して開発したホテルなどの当時の映像も見られる。そして、そこで行われた戦火のもようが報告される。事後の報告である。抗日運動がどのように展開されたか。市街戦での苦労が語られる。

むかし、ベトナム戦争の記録映像をみたとき、南国の明るい陽光のもと、果てしなく広がる平和な田園風景を見て、「なんでまた、こんないいところで、戦争なんぞしなくちゃならんのだ」と奇々怪々の印象を持ったことがある。人間が銃器など振り回さなければ楽園のような場所が踏みにじられる。

スピルバーグの『太陽の帝国』では、上海租界に住む裕福な家庭のお坊ちゃんが、戦闘開始と同時に親と生き別れ、その後、捕虜収容所でする苦労の日々が描かれていた。それまで忠実に働いてきた中国人メイドに殴られるシーンもあったと思う。日常が激変し生きるのもままならない生活をする。当然それは、子どもの精神にも多大な影響を与える。両親と再会したときのお坊ちゃんの表情は印象的だ。いわば、人間が変わって(変えられて)しまったのだ。

上記映画の監督は、亀井文夫である。その経歴を見るとオモシロイ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%80%E4%BA%95%E6%96%87%E5%A4%AB

1939年、軍部の後援で監督した『戦ふ兵隊』の上映禁止。
1941年、映画人のなかで唯一、治安維持法違反容疑による検挙・投獄、演出家資格抹消を経験[5]。
1946年、吉見泰と共同で編集した『日本の悲劇』がGHQによって上映禁止処分。

戦時中の軍事政権下で、戦後のGHQ統治下で、「上映禁止」処分を受けている。「映画人のなかで唯一」という但し書きが響く。

たぶん、その内容が、真実を突いていたので為政者の怒りをかったのだろう。ということは、記録として見るに値するということになる。

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