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若年層の死因第1位は・・(司馬遼太郎ー「死に至る病」とからめて) [ニュース・社会]

昼食をとりながら古いビデオを見た。司馬遼太郎の菜の花忌に開かれたシンポジウムである。

司馬遼太郎記念館ホームページによる資料には、次のように紹介されている。

第15回 2011年2月12日
【テーマ】司馬遼太郎のたいまつ――われわれが受け継ぐべきもの
【パネリスト】養老孟司、安藤忠雄、姜尚中、磯田道史各氏
【会場】NHK大阪ホール
【掲載号】一部内容を「遼39号」に掲載しています。

司馬遼太郎の精神的遺産をどのように受けついでいくかという内容で、特に司馬さんが小学校高学年の教科書に執筆(書下ろ)した『二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)』が話題に取り上げられ、緒方洪庵の無私の生き方にも焦点があてられていた。シンポジウムのテーマも「洪庵のたいまつ」をもじったものだろう。「司馬遼太郎のたいまつ」である。


二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)

二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)

  • 作者: 司馬 遼太郎 (しば りょうたろう)
  • 出版社/メーカー: 世界文化社
  • 発売日: 2001/02/12
  • メディア: 単行本



そのシンポジウムの発言に、「なぜ司馬さんは、大人たちに向けて書かなかったのか。絶望していたからではないか。それで、将来を子どもたちに託そうとしたのでは」という発言があった。上記イメージ・サイトの商品説明にも「司馬遼太郎さんが、日本の行く末を憂い、1987年・1989年に小学校5・6年生の国語教科書のために書」いたとある。

司馬さんは、その晩年、日本の将来を憂えて「もうアカン・・」という嘆きの談話や手記が多くなっていた。奥さんのみどりさんが、「いつも聞かされていると、さすがに滅入りますよ・・」と話していたのを思い出す。

司馬さんの死因となった腹部動脈瘤は、そうした日本への憂いがストレスとなって、たまりにたまって生じたものかもしれない。そして、ついに破裂した。

城山三郎さん逝去
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2007-03-23


そういうビデオを見て、昼食後、新聞をみると〈若年層死因 自殺1位 厚労省「深刻な状況」〉の見出し。少子高齢化社会、超高齢化の道を驀進しているなかで、貴重な若いいのちが失われていく。

おかしなものである。少子化が進むこと、それが国益に反する状態であることがわかっていたはずである。それにも関わらず、出生率が伸び悩んでいるのは、実際的で有効な手が打たれてこなかったということである。生まれてくる子どもたちを受け入れ、安心して子どもの養育にあづかることのできる社会にするための時間は十分あったはずなのに、そうしては来なかった。

そのような中で、授かった命が失われていく。みずから命を断つ。若い人たちの自殺についても、今に始まったことではない。それにも関わらず相変わらずの状況である。

厚生省のホームページ
死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html

上の数字は、平成21年のものだが、下記URLにみる平成26年の順位もほとんど変わらない。

厚労省;自殺対策白書
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/16/

そして、人間のおこなう政治のあり様も、変わってはいない。政治を動かしているのは、良心・良識などではない。表向きそのように装っているだけである。緒方洪庵の「無私」の精神からは遠い。

最近話題となっている「加計学園」もそうだろう。関係者の間で、これまでずっと不必要と見なされてきた学校が、とつぜん新設されることになった。首相の大のオトモダチのために作られる学校である。

『イッパイのカケ(加計)そば』に176億円以上
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13

つまるところ、若い人々をとりまく環境が変わらないのであれば、自殺も減ることはないにちがいない。

精神科医の鹿島 直之氏が、日本と同じくたいへん自殺率の高い韓国と比較しつつ、その原因とできることについて『日本の若者の高い自殺率とその予防について』と題して書いている。
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20170221/Jijico_22580.html?_p=2

それを読みつつ、「死にいたる病とは絶望のことである」というキルケゴールの有名な言葉を思い出した。ゲーテなら「光を、もっと光を」と言うだろう。

どんな悲惨で過酷な状況でも、希望のタネを拾うことができれば生きつづけられる。それは、どこにあるか?

以下は、キルケゴールの言葉をうまく解説している。

キルケゴールの死に至る病とは絶望のことである、という意味はどういうことですか?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1185983406


旧新約聖書―文語訳

旧新約聖書―文語訳

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本聖書協会
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 単行本


下記サイトの聖書はたいへん読みやすい
https://wol.jw.org/ja/wol/binav/r7/lp-j/Rbi8/J/1985

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