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図書館をぶらぶら ・・どこにも天才はいる・・

図書館に出向く。雑誌コーナーをぐるっと見回す。

「火花」の作者の新作を見る。冒頭と最後の段落をひとつふたつ。悪くない。前作もそうだったが、お笑い芸人の域を超えている。小説家としてりっぱに立っていけるように思う。前作もひとつふたつの段落しか読んでないが・・・

などと、ナマイキなことを記しているが、なかなかそのように感じさせる作家はいない。芥川賞受賞作品で、ちらと見て、おおやるわいと感じたのは、いつだったか。


新潮 2017年 04月号

新潮 2017年 04月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/03/07
  • メディア: 雑誌



それから、『数学セミナー』を手にした。


どういうわけか、数学に惹かれる。学校時代のウラミが多々あろうはずなのに。不思議である。『月山』の著者もそうだったと聞く。本屋に行くと数学の棚で時間をつぶしていたという。『森敦との対話』という養女の書いた本に出ていた。その本を読むと、森敦は養女が居なければ、その才能を開花させずに終わってしまったにちがいないと確信させられる。才能があっても、開花しないことも多々ある。それは、なにごとにおいても、おなじことであろう。


数学セミナー 2017年4月号 666号 数学の学び方

数学セミナー 2017年4月号 666号 数学の学び方

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2017/03/11
  • メディア: 雑誌



時枝正先生の連載が『数学セミナー』で始まったことを知った。第一回を読んだ。先生の経歴をみると、世の中には、やはり天才という人がいるのだな・・と諦めの気持ちがわいてくる。しばらく前、日経新聞の『私の履歴書』に、黙阿弥のひ孫の河竹登志夫さんも、そんなことを書いていた。数学者になる夢をもっていたらしいのだが、間近に小平邦彦の天才ぶりを見て、数学者の夢をあきらめた・・という話がでていた。どの世界にも天才はいるものだ。

ちょうど、『数学セミナー』では、 「数学の学び方」が特集されていた。学校の数学の成績の良いものが、必ずしも数学者になれるとは限らないというようなことも記されていた。天才を自認しない・できない者にとっては慰めである。ずっと、わからない問題をかかえたまま、鶏がたまごを、かかえこむように、問題を温めつづけることができるかどうか、いわゆる辛抱強さも必要であることも示されていた。

そういうのを、読んでいたら、時枝先生の連載がでてきたのだ。以前、数学者になったいきさつを書いた軽妙なエッセイを読んで、すごい人がいるものだと思っていたが、ケンブリッジ大の数学専攻志望の高校生たちが通過しなければならない「地獄の門」(という表現はどこにもありません)、口頭試問のあり様が示され、そこで出される問題の例も12ほど示されている。それらを、面接時、相手の様子を見ながらあれこれ差し替えつつ出題するという。やさしそうなら難問に、むずかしそうならやさしくし、泣き出すようなら、なだめ・・・。相手する先生方もなかなかたいへんなようで、チョコレートの差し入れを得ながらガンバルらしい。

以前、お二方とも英国の大学を経験している林望先生と茂木健一郎の対談本で、氷水のなかを泳ぐアヒルの足が凍らないのはなぜか・・というような問題を出された大学入学志望者らが、四苦八苦する話しが出ていたが、ケンブリッジ数学専攻トライポス(Tripos)はまた特別な位置を占めるらしい。歴史に残るような面々を輩出してきたケンブリッジの数学専攻に入るためには、それなりの苦労が伴うということだ。そこで、時枝先生は13年も高みの見物を楽しんできたようす。チョコレートはもらう側ではなく、配る側にいるらしい。

そんな話を、読んで帰ってきた。どこにも天才はいるもんだ。


「プロの数学者」になるには・・
(時枝正ケンブリッジ大Trinity Hall 数学主任)
http://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30-1



森敦との対話

森敦との対話

  • 作者: 森 富子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 単行本



数学まなびはじめ 第3集

数学まなびはじめ 第3集

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2015/07/23
  • メディア: 単行本



教養脳を磨く!

教養脳を磨く!

  • 作者: 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2009/03/23
  • メディア: 単行本



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