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黒澤明の「三船敏郎」評から(その「動き」について)

やっぱりスゴイ人だったんだ。

三船敏郎のことだ。「世界の黒澤」が、驚いたのだという。

「長部日出雄の 映画と私の昭和」(「毎日新聞」8/15p21)で、次のように紹介されている。

黒澤は自伝にこう書いている。三船は普通の俳優が表現に10フィートかかるものを3フィートで表現し、普通の俳優が3挙動かかるところを1挙動のように動いた・・・と。それに驚くほど繊細な神経と感覚も持っていることに気づいた黒澤は、三船を『酔いどれ天使』の主役に抜擢した。

上記の引用部分から、民弥流居合術の「一調子の抜き」という言葉を想起して、うなった。

「名人といわれた田宮平兵衛師が伝えた抜刀の稽古法は、三調子から抜き習わせ、順次、二調子、一調子へと進むというものです。三調子の抜きとは、抜き出す太刀を三段階にして太刀との調子を合わせ、鞘などに傷を付けぬようにして形を整えながら「一、二、の三」と抜くことをいいます。そして、二調子の抜きとなりますと、「ひとーつ、ふたーつ」で抜きつけを終ります。そしていよいよ“一調子の抜き”になりますと、「ひとーつ」で抜き終ります。あるいはまた「ハッ!」と抜きつけます。この“一調子の抜き”はまた、“はなれの至極”ともいわれるものです。この“はなれの至極”といわれる抜刀の妙を得て参りますと、長短一如となり「切先が鯉口をまさに離れた瞬間、太刀先が相手に届いている」ということになります。」(黒田鉄山・甲野善紀著『武術談義』民弥流居合術p191)

『赤ひげ』での乱闘シーンでの動きなどをみても、並々でないのがわかる。三船敏郎という人は、運動能力の至極の境地を天稟の才として持っていたということなのかもしれない。

最近、『丹下左膳餘話 百萬両の壺 』を見た。その際、左膳役:大河内傳次郎の動きに驚かされた。銀幕の歴史に残るような大スターは、やはりそれだけのモノを持ち合わせていたということなのだろう。

マイケル・ジャクソンのこと(その身体のこと)
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2012-06-09


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