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12:密約の存在が明らかに(「沖縄密約」事件の顛末:毎日新聞社史から) [沖縄密約漏えい(西山)事件]

(2000年、米公文書により密約の存在が明らかに) 

沖縄返還をめぐって、日本政府が、米国側が支払うことになっていた400万ドルの現状回復補償費を肩代わりしていたことが、返還から28年たった2000年に米国の公文書によって明らかになった。これは西山太吉元記者が入手した「秘密文書」の核心で、政府は国会や法廷で一貫して「密約はなかった」と否定していた。

同年5月30日の毎日朝刊は「政府、400万ドル肩代わり 沖縄返還時の現状回復費 米公文書に明記 外務省の『密約』裏付け」の見出しでこれを報じた。

それによると、この公文書は当時のマイヤー駐日大使が71年6月に国務省に提出した文書や米上院の聴聞会に備えた米政府内の想定問答集で、米国立公文書館が秘密指定を解除したものを琉球大の我部政明教授が米国の情報自由法に基づいて入手した。

公文書には、吉野外務省アメリカ局長が米国のスナイダー駐日公使に「日本政府が返還協定に基づいて支出する3億2000万ドルのうち400万ドルを米信託基金のために確保する」と語り、公使が「あなたの発言に留意する」と答えたことが記されている。この文書には吉野、スナイダー両氏のイニシャルの署名があった。

そして「日本政府がこれらのコストを埋めるため追加額を支払ったことは示すべきでない」「日本政府が3億2000万ドルを超える返還問題解決金を国会に正当化できないと感じているからだ」などと秘密にした理由が生々しく記されている。

この日の毎日には「米国には沖縄返還のため新たな負担はしたくないという空気があり、議会を納得させるため、ああいう文書に私のサインが必要だったのではないか。ただ古い話なので記憶がはっきりしない。この文書をもって日本側が400万ドルを肩代わりしたと読み取れる、と言われれば、何をかいわんやだ」との吉野氏の談話が掲載されている。

また西山元記者の弁護人だった元最高裁判事の大野弁護士は「外務省と検察は一貫して『密約はない』と言ってきたが、密約の存在があったことの証拠が出てきた。真実が明るみに出るのが遅すぎたとも言えるが、これは日本における公的情報の開示が著しく遅れているということだ。情報開示の必要性を改めて痛感している」という談話を明らかにしている。

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町村信孝「秘密保全」PT座長(日本記者クラブ会見)ビデオ
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2014-10-08-2

戦後日本の構造をこれほどよく示す話を聞いたことがない
(西山事件当事者談話)
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2014-10-09

videonewscom
http://www.youtube.com/watch?v=JqIUh9V7hA4
秘密保護法ができれば政府の違法行為を暴くことは不可能に
日米密約を暴いた西山太吉氏が法案を厳しく批判


「毎日」の3世紀―新聞が見つめた激流130年

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  • 作者: 毎日新聞社
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
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