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5:西山記者と女性事務官逮捕(「沖縄密約」事件の顛末:毎日新聞社史から)  [沖縄密約漏えい(西山)事件]

西山記者と女性事務官逮捕

4月3日夜、外務省は女性事務官を警視庁に告発した。すでに3月30日の段階で同事務官は合計3通の電信文のコピーを西山記者に渡した事実を上司に告白し文書にまでしていた。外務省当局は告発を数日間、待ったわけである。なお、電信文のあと一通は、パリにおける愛知外相・ロジャーズ米国務長官の会談内容を伝える71年6月9日付、中山駐仏大使発、福田臨時外相代理あてだった。3通以外にも、5~8月の間に多数の書類を渡しており、いくつかが西山記者の記事の材料に使われていたことが後に明らかにされる。

朝日新聞は4日付朝刊1面トップで「“沖縄密約”電報持ち出しは外務省の女性秘書」をスクープした。本社は前に述べた極秘扱いのため政治部、社会部などの多くの記者は事情を知らず、虚をつかれる形となった。

事務官は同日未明、夫らにつきそわれて警視庁に自首する。福田外相は午前の閣議で、この旨報告し、外務省では森治樹事務次官らが記者会見で発表した。

西山記者は昼過ぎ警視庁に任意出頭したが、これに先立ち本社で住本利男副社長ら首脳部が弁護士をまじえ、逮捕もあり得るという前提のもとに対策を協議した。しかし、この段階になっても同記者は女性事務官との特別な関係を否定している。おそらく逮捕されてもそこまで追及されることは予測しなかったのではないだろうか。起訴のポイントの一つにされたこの問題を、本社首脳部が逮捕後まで確認できなかったのは、結果的にまことに残念だったことだが、それは同時に第一線記者を信頼していたためでもあった。

2人は4日夕方、国家公務員法違反容疑で警視庁捜査2課に逮捕された。同日夕刊から1面トップはじめ社会面なども動員して連日大々的なキャンペーンが展開される。

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町村信孝「秘密保全」PT座長(日本記者クラブ会見)ビデオ
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2014-10-08-2

戦後日本の構造をこれほどよく示す話を聞いたことがない(西山事件当事者談話)
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2014-10-09



「毎日」の3世紀―新聞が見つめた激流130年

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