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汚染水も、情報も、「垂れ流し」? [ニュース・社会]

毎日新聞のコラム「発信箱」に

《被ばくの「可視化」》

という題で、記事が出た。

筆者は、(専門編集委員)青野由利

以下、その記事全文。

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散らかり放題の机を整理していたら、原発事故直後の公表資料が出てきた。原子炉の水位や圧力、温度など、数字が羅列され、それだけでは何が起きているか見当がつかない。当初はエクセルでグラフ化して見ていたが、使い慣れないので一苦労。なぜ政府や東電がわかりやすく「可視化」しないのだろう。「事実を知らせたくないからじゃないの?」と、疑っていたことを思い出す。

情報はあるのに、データの統合や可視化ができていないために全体像がわからないのは、人々の被ばく状況も同じだ。事故後、福島県内に数台しかなかった内部被ばく測定のためのホールボディーカウンターは、今や約50台。合わせて29万人程度を測っているが、全体を見通せるデータベースがない。しかも、体内にある放射性物質の量で示しているところと、線量に換算した値で示しているところがある。問診票も統一されていないから、全体を見渡すのがむずかしい。

東大の早野龍五さんらは、県民を中心とする約3万人のデータをまとめて分析し、今週、英文論文に発表した。食物による内部被ばくがとても小さいことがわかったが、驚いたのは「この分野で日本からきちんとした英文論文がほとんど出ていない」という話だ。「これはまずいと、正月をつぶして書いた」というから、世界に向けた日本の被ばく状況の「可視化」不足も深刻だ。

各自治体がバラバラに公表している外部被ばくのデータも、早野さんが条件をそろえてグラフ化したものを見ると傾向が一目瞭然。

「情報公開」と「データの垂れ流し」は別モノであることを、改めて考えたい。

(毎日新聞 2013年04月12日 00時22分)

計算物理

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  • 作者: 早野 龍五
  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売日: 1992/04
  • メディア: 単行本



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