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1:「本と読書」だけが与えることのできる力

仏文学者の鹿島茂さんが、「本と読書」と題して書いている。

毎日新聞連載のコラム『引用句辞典(不朽版)』においてだ。(M紙11・26p12)

だから、この更新記事は、『引用句辞典』からの引用ということになる。


現代人にとって、特に、ビジュアル全盛時代の今日、ネット漬けで安いタクアンのようになり果て、批判力を喪失し情報に振り回されるだけのやせた脳ミソにとっては特に貴重な見方といえるように思う。


以下、引用である。

と、言っても、まずは、鹿島さんの紹介するT・S・エリオットの引用句のみ。

**************

ひとりの作家がしばらくの間われわれの心をまったく独占し、ついで他の作家が占領し、そうしてしまいにはわれわれの心のなかで作家たちがたがいに影響し始める。あの作家とこの作家とを比較計量して見て、それぞれが他に欠けているよい性質、しかもほかのとは調和しないちがった性質を持っていることがわかる、とこの時じっさい批評的になりはじめたのだ。こうして批判力が成長するにつれて、ひとりの文学者の個性によって心を占有されることがなくなってゆく」

(T・S・エリオット「宗教と文学」=『文芸批評論』所収、矢本貞幹訳 岩波文庫)


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