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ゾウのタマオ(急逝の報に接して) [詩のようなもの]

アフリカのドコから来たんだ

巨体をちいさなトコロに押し込められ

35年ものあいだとじこめられ

 

子どもやオトナやハトやなにやらの注視にさらされ

おだやかにしていたオマエはよくできたゾウだった

 

ただノウノウとながいはなを動かしてみせればソレでよかった。

みんなオマエのことが大好きだった。

 

(ぼくは君を見ていない。

見ていないが、君をとおいムカシから知っているような気がする。

アフリカのサバンナのバオバブのハヤシのなかをのっそり歩き

母親や兄弟たちと鼻を巻き上げてじゃれあったりしているのを

ぼくは見たような気がする。)

 

倒れているのを発見されたんだって

開園時間に、お客の前で

巨体を横たえたオマエの目には青い空が映ったろうか

 

台風一過の青空の下

日本のちいさな動物園の

真夏の蒸した熱気のなかで

オマエは、しずかに息を引き取った

 

「ごくろうさま・・

・・ありがとう」

一度も会ったことないのだけれど

ぼくは言いたい


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