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神宮外苑再開発 村上春樹氏「個人的に強く反対しています」 [ニュース・社会]

神宮外苑再開発 村上春樹氏「個人的に強く反対しています」
スポニチ
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2023/06/27/kiji/20230626s00042000716000c.html

村上春樹の神宮への思い入れは強いはずである。なにしろ小説家の原点となった場所である。

聞くところによると、ジャズ喫茶のマスターであった村上春樹が、「僕にはたぶん小説が書ける。その時期がきたのだ」と(神宮球場の野球観戦時)天啓のごとき思いを抱き、文房具屋で鉛筆と紙を買い求め、店が終わったあとビールを飲みながら毎日1,2時間、朝の3時、4時といった時間に、台所のテーブルに向かって書いたものが、運良く〈群像新人賞〉を取り、作家としての好スタートを切った」とジェイ・ルービンの本にあったからだ。

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神宮は渋沢栄一らが発起人となって、最近伝記の出た本多清六らの協力を得てつくった森である。明治天皇を祭る場所として造営したものは、都民の憩いの森となった。というか、東京の人間が明治天皇をしのぶ場所を身近にもちたいという願いをかなえる場所だった。いわば、祭祀的な意味合いの多分にある場所である。明治ははるか遠くになったとはいえ、本来の在り方はそうそう簡単に変えてしまっていいものか。海の近くの神社が高台にあって津波のときの避難場所となるように、これから来るとされる南海トラフなどの災害時に神宮の森はたいせつな役割を果たしそうである。神宮自体が人間の思いから出たものであるが、そもそもは経済主眼で動いたものではない。木一本植えるにも造園の知識が多分に生かされている。そうした木々をいとも簡単に伐採するなど、木ひとつを神様のように扱ってきた古来の感覚からは想像できない。いまこうして書いていて『もののけ姫』が思い浮かんだ。森は木の生えているだけの空間ではない。動物もいれば植物もいる。粘菌もいる。むだな生産性のない空間ではない。そこに棲むものの声を聴く必要がある。

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