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「不労所得」「華族」「ノブレス・オブリージュ」 [歴史雑感なぞ]

先の更新で、「株式投資」でサラリーマンも「億」のマネーを持つことができることを知った。要するに「不労所得」である。「億」のカネはもっぱら、お金に働いてもらったわけである。
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2021-08-1

NHKで放映された「華族 150年の旅路 ~激動を生き抜いた日本の名家~」という番組がYouTubeにアップされている。

華族制度と言えば「公(・侯・伯・子・男)爵」など、爵位をもった人々を思い出す。とりわけ、公(・侯・伯)爵は、公家や大名家の出自で、先祖の遺産で食べてきた方たちである。まさに「不労」で暮らした方たちだ。

さっそく、どんなものか見させてもらった。

華族 150年の旅路 ~激動を生き抜いた日本の名家~
https://www.youtube.com/watch?v=aWq4iJhjeWk


鍋島家、徳川家、近衛家、立花家の足跡がしめされる。関東大震災、戦争をはさんで窮乏していった様子が示される。国宝級の先祖伝来の家宝を手放さなくなったり、高額の相続税が課されて土地を売り飛ばさざるを得なくなったり、その暮らし向きは変わっていく。

ひとつはっきり知ることができたのは、制度創設以来、華族が歴史的にみて大きな仕事を果したということである。大きな仕事をしたから(渋沢栄一・子爵のように)華族に連なったという人もいるが、先にあげた家族も一般庶民とはけた違いの役割を果たしてきた。外国に大使として遣わされたり、鹿鳴館で外国人を饗応したり、北海道の開拓事業に腐心したり・・、首相(近衛文麿)になった方もいる。

華族制度がなくなった今でも、その子孫はいる。彼らは(少なくともカタチの上では)「不労所得」で暮らしているわけではない。なんらかの仕事をもっている。美術館の運営をしたり、アートディレクター、旅館経営などしている。

当番組には近衛文麿のひ孫にあたる近衞忠大氏が登場している。細川護熙元首相に似ていると思ったら、元首相は伯父にあたるという。Wikipedia『細川護熙』の項をみると<旧熊本藩主細川家第17代当主・細川護貞と、五摂家筆頭近衛家の第29代当主で昭和初期に貴族院議長や内閣総理大臣を歴任した近衛文麿の次女・温子との間の長男>とある。とてつもない血統である。

以前、どこで読んだか忘れたが、ビル・クリントンが細川護熙首相と会ったときのことが記されていた。クリントンは、その時、アメリカ大統領であったが、細川護熙首相の、その代々つづく血統の良さに参ってしまったような話を読んだ。思わず、敬意をしめさざるを得ないような雰囲気があったというような話だったように思う。


ちなみにWikipediaで『不労所得』の項目を見たら、「関連項目」として<ジェントリ、貴族、ランティエ、高等遊民、ラットレース>と出ている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%8A%B4%E6%89%80%E5%BE%97


そのうちの『ジェントリ』の項をみると、以下の説明がある。

ジェントリ同様、細川護熙元首相からも、そのような積み重ねられたモノが自ずと感得されてのことかもしれない。

<イギリスにおいてジェントリが「ジェントルマン」として社会的尊厳を保ち続けていたことはよく知られているが、これは彼らが広大な土地を所有する地主(不労所得者)として単に贅沢を楽しみ収奪する存在だけではなく、(少なくとも建前の上では)地域社会に奉仕する名士として振るまい、かつそれを周囲に示し続けることで、彼らの支配こそが最上の者による支配なのだという印象を終始維持し続けられたためである。それは、戦争があれば自ら率先して戦場に赴くことであったり、治安判事などの官職を無給で引き受けて地域の治安維持や収税に努めることであったり、慈善事業に積極的に取り組んで地域社会に貢献することであった。これらの行いはノブレス・オブリージュ(仏: noblesse oblige ― 高貴なる者の義務)と呼ばれ、商業的に成功した新興の富裕者(成り上がり者)と異なり、ジェントリは自己の利益だけを顧みない(実際には無給の官職は不労所得者(つまり上流階級)以外の政治参加への道を閉ざしていたことはさておき)名士的な存在であるとの印象を周囲に与えた。>Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA

以下、当方未読

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