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室生犀星原作・木村荘十二監督『兄いもうと』1936年を見る [ドラマ]

室生犀星原作・木村荘十二監督『兄いもうと』1936(昭和11)年を見る。
Brother and young sister(1936)
https://www.youtube.com/watch?v=zylPF0r-bYU&t=68s

木村荘十二監督の作品は、すでに『放浪記』を見ているが、これまた凄い。映画は総合芸術であると実感させてもらえる。カメラワークも音楽も見事だ。

音楽はもっぱらクラシック作品を用いているが、映像にフィットしている。

キャスティングも素晴らしい。「いもうと」もん役の竹久千恵子は、『馬』では東北の百姓の母親役を演じ、『禍福』では桐生の資産家のご令嬢を演じている。本作では、男にはらまされて一家の面汚しとなって家に居ずらくなった「すれっからし」の娘を演じている。とはいえ、根っからの「すれっからし」ではない。そのことを「いもうと」は自覚している。そして、居直ってはいない。

「兄」伊之役の丸山定夫も素晴らしい。妹を愛しているがゆえに、はらませた男へのいらだちが、男にではなく、目の前の「いもうと」に向かってしまう。それが、かえって「いもうと」を居直らせてしまう。

「いもうと」のふるまいは「堅気」の一家に大波乱を起こす。これほどの波乱はなかなか見られない。見ものである。

木村荘十二監督の力量にはすごいものがある。実際に見ることのできる映画はそう多くは残っていないようだ。勿体ないはなしである。


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