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名子役総出演 清水宏監督『風の中の子供』1937年を見る [ドラマ]

1937(昭和12)年11月11日公開 坪田譲二原作・清水宏監督『風の中の子供』
Children in the Wind (1937)
https://www.youtube.com/watch?v=PmHihB5lfJA

子どもの世界が描かれている。この時期の映画には子どもがよく出てくる。『風の又三郎』のように子どもたちの世界を描く映画もある。当該映画も、そのように括ることができそうだ。

当時、名子役として知られる者は多い。この映画に出演している 善太:葉山正雄 、三平:爆弾小僧 、金太郎:アメリカ小僧 、幸助:末松孝行 、正太:突貫小僧もそうだ。

『ウィキペディア』をみると〈菅原秀雄、「突貫小僧」こと青木富夫、「爆弾小僧」こと横山準、「アメリカ小僧」こと末松孝行、あるいは加藤清一(旧芸名加藤精一)とともに同時代の「松竹蒲田の名子役」として重用された〉と、(葉山正雄の項目に)出ている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%89%E5%B1%B1%E6%AD%A3%E9%9B%84

「アメリカ小僧」が末松孝行であるとすると、実際のところは名義を二つ使って末松が「幸助」と「金太郎」の二役をしているのだろうか。「あるいは加藤清一」とあるので、「アメリカ小僧」は加藤かもしれない。もし「金太郎」が加藤であるとすると、この映画には、菅原秀雄を除いた当時の「松竹蒲田の名子役」がフル出演していたことになる。(もしかすると、菅原もクレジットされていないだけで出演していたかもしれない)。彼らの演技をみるのも当該映画の楽しみのひとつである。

物語は、善太と三平の兄弟が、父親の不在(私文書偽造の嫌疑を受けて拘置された)期間の出来事である。一家の頭であり稼ぎ手である父親を失う時に家族が一気に「現在」を喪失し迷走していく様子が示される。嫌疑が晴れて「お父さん」の帰って来たことを喜ぶすがたは、今のおとうさんの多くにとってうらやましい限りなのではないだろうか。今般、こんなに素直に喜びをあらわしてくれるのは、愛犬くらいかもしれない。

私ごとだが、父親は昭和5(1930)年生まれである。それゆえ、この公開年をみると少年「三平」と父親が重なってみえる。映画のなかでオリンピックと前畑選手のこと、『ターザン』のことが話題にでる。水泳の実況中継を模して兄がしゃべり、弟「三平」が布団の上で泳ぐシーンがある。当時、シリーズとして公開されていたアメリカ映画『ターザン』を演じるジョニー・ワイズ・ミューラーが元オリンピック水泳選手だったとオヤジから聞いたことを思い出した。自身水泳選手だったので、ひとこと言いたかったのだろう。

子どもが子どもらしく輝いている。兄弟喧嘩や親と子の会話のちぐはぐもオモシロイ。


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