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坂本武・上原謙主演『男の意気』1942年を見る [ドラマ]

The man's spitit (1942)
https://www.youtube.com/watch?v=Y67Z1b5KzIA

回漕屋の物語である。

港に入る大きな船の荷物をちいさな船に乗せ替えて陸地に運ぶ仕事だ。コンテナ船の出現まえの仕事だ。

回漕業
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%9E%E6%BC%95%E6%A5%AD-1515685

港湾運送業
https://kotobank.jp/word/%E6%B8%AF%E6%B9%BE%E9%81%8B%E9%80%81%E6%A5%AD-1165504#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29

老いた店主(坂本武)と休暇で志那から帰った若旦那(上原謙)と能力はあるものの娘との関係で出入りを禁じられた元番頭(徳大寺伸)との人間関係。競合回漕屋との仕事をめぐる駆け引きからドラマはなる。

人間関係からいえば、親から子への世代交代の話であり、娘夫婦が勘当を解かれ、実家への出入りを許されるまでの話である。仕事をめぐる駆け引きとしては、単なる店同士の競合から組合をつくって協業を図るようになる話といえる。

ちょうど戦時下でもあり、一同団結の必要が強調される。

『男の意気』が映画タイトルとなっているが、「意気」を辞書で調べると、〈1 事をやりとげようとする積極的な気持ち。気概。いきごみ。2 気だて。気性。気前。3 意地。いきじ〉と、ある。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%84%8F%E6%B0%97/

①の点では、競争して勝ち取った大きな仕事をやり遂げることに表現されている。②③の点では、義理を守ることの大切さに示されている。

店の半纏を着る(着ることができる)ことの値打ちも示される。その心意気は、帰属意識やアイデンティティーの問題と繋がる。

「義理」というものを知る点でいい映画に思う。それは人を繋ぐものであり、縛るものでもある。

時代背景からいって、ここに着流しすがたの高倉健や鶴田浩二がでてくれば、そのまんま任侠映画になりそうである。当該映画のなかで、義理をめぐるちいさないざこざが生じるが、任侠映画であれば、合口や長ドスひっさげての大騒動になるカモしれない。

任侠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%BB%E4%BE%A0


坂本武演じるオヤジさんのような頑固者を実際に見てみたいものだと思う。いまとなっては絶滅危惧種に相違ない。

以下、当方未読

任侠道 叛逆者の倫理

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