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文章語を用いて論理的に語るために(斉藤孝の「大人のための読書の全技術」から) [本・書評]


大人のための読書の全技術

大人のための読書の全技術

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2014/07/31
  • メディア: 単行本



家内を歯医者に送って、当方は新刊書店で立ち読み。

上記書籍をざっと見るなかで、ひとつ印象に残った点がある。斉藤孝が感嘆している。フランス語を口頭で逐次、訳しつつ、それが立派な文章になっていく人物のことだ。流石の斉藤先生も自分にはデキナイと脱帽している。

ふだんの会話に用いるような口語ではなく、意味含有量の高い文章語を用いて話すことができるというのは、やはり、相当な読書量と自己訓練がいるようである。

先の当該ブログ記事で、大平正芳元首相がそうであることを示した。同時に、安倍晋三首相は、流暢に話すが、文字起こしすると「文意不明」であることも示した。

「立て板に水」の安倍晋三と「アーウー」の大平正芳 
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-09-08

大平元首相は、実際に読んだ本が1万5千冊というはなしである。そこまで読んで、しかも、聞く人が納得できる(つっこまれるスキのナイ)ように話すための誠意努力が常時なされていたから、デキタということなのではなかろうか。

大平元首相同様の評判を得ている人物をもうひとり挙げることができる。大修館書店から刊行されている『大漢和辭典』の編纂者である諸橋 轍次である。『大漢和辭典』刊行のいきさつを、『漢文のすすめ』と題する本のなかで、原田種成(はらだ たねしげ)大東文化大名誉教授が記している。当時、原田は大東文化学院の学生で、『大漢和辭典』編纂のお手伝いに駆り出され、諸橋を親しく知る機会があった。また、実際にその授業を受けもした。そうした中で、諸橋轍次自身が、(今、『漢文のすすめ』が見つからず、原文を示せないのだが・・・)「オレの話すことを文章に起こすと、そのまま原稿になるよ・・」と言ったが、実際そのとおりであったと証ししている。

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「前にも書いたが、外国語学部の教授たちが言っている。学生たちは会話は達者になったが、文章を訳させると国語力がないから、訳したものがちゃんとした日本語になっていない、と。」(原田種成著『漢文のすすめ』から)

山口謡司と杉本秀太郎
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-08-11

凛としたたたずまい。小沢さんにも願いたい。
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2006-09-13

フランスの小学校と日本の小学校の英語必修化
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2006-05-15


漢文のすすめ (新潮選書)

漢文のすすめ (新潮選書)

  • 作者: 原田 種成
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1992/09
  • メディア: 単行本



大漢和辞典 全15巻セット 別巻『語彙索引』付

大漢和辞典 全15巻セット 別巻『語彙索引』付

  • 作者: 諸橋轍次
  • 出版社/メーカー: 大修館書店
  • 発売日: 2000/05/10
  • メディア: 単行本



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