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『本居宣長』小林秀雄著 入手 [本・書評]

昨日、古書店で小林秀雄著「本居宣長」を入手した。

存命当時、小林秀雄は新潮社からいちばん高い原稿料をもらう人物と聞いていたが、入手した単行本も昭和58年時の定価で、4800円と高価である。それが、たいへん安くなっていて、100円に消費税。

いま並行して、当方は、靖国神社の創建の由来をしめす(以下の)本を読んでいる。ざっと読んだことを、かいつまんで述べるなら・・・


靖国誕生 《幕末動乱から生まれた招魂社 》

靖国誕生 《幕末動乱から生まれた招魂社 》

  • 作者: 堀 雅昭
  • 出版社/メーカー: 弦書房
  • 発売日: 2014/12/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



靖国神社は、以前「東京招魂社」と呼ばれていた。

倒幕運動のために犠牲となった長州藩士らの慰霊のための施設が「招魂社」。ソレは仏教に根ざすものではなく、神道に拠るもの。はじめ長州(山口県)にはじまり、長州藩士の犠牲者が出た地(たとえば、五稜郭での戦いのあった函館)にも設置されるようになる。大村益次郎、青山清といった長州人の肝いりで、東京・九段の地に置かれたのが「東京招魂社」のちの靖国神社。

「招魂社」の慰霊の仕方にふかく関わる人物として平田篤胤があげられている。驚いたことに、篤胤の神道思想には洋学の影響があり、キリスト教も関わっているという。そしてまた、フランシスコ・ザビエルは、かつて長州において布教をおこない、それは成功していたらしく、ザビエルの影響がのちの「廃仏毀釈」運動にもつながっていくという。

西洋中世が「暗黒」となった理由
http://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2015-08-23


・・・と、前置きが長くなったが、本居宣長を尊んでいた平田篤胤についての新情報を『靖国誕生』をとおして知り驚いていたところに、小林秀雄の「本居宣長」をみつけたので、さっそく買ったというわけである。

ちなみに、今、『本居宣長』を読み始めたら、次のような文章が出ていた。

川口常文の「本居宣長大人伝」には、「此歌(宣長の辞世とされている歌)、大人の自ら書き給へるを、今も妙楽寺に所蔵せり。さて人死れば、霊魂の往方は其善きも悪きも、なべて夜見なりと、古事記傳玉勝間等に云れ、また歌にもよまれたるが、此頃にいたりて、其説等の非説なるを、さとられつれど、其を改めらる々いとまなくして、はたされつるにて、其は此御歌もて證しとすべく、其御意のほど炳焉たらん」、尚詳しくは、平田翁の「霊魂眞柱」を参照せよ、とある。言うまでもなく、平田篤胤は、鈴門の第一者を以て自ら任じてゐた人だ。この熱烈な理論家には、宣長の辞世が、自身の思想の不備や矛盾を自覚し、これを遂に解決したものと映じた。しかし、この意味での辞世ほど、宣長の嫌ったものはない。p18

以上の文章を読むときに、篤胤を「鈴門の第一人者」と、実際のところ呼びうるのだろうかとの疑問を感じているところ・・。

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『靖国神社(東京招魂社)』は長州由来
http://kankyodou.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06

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本居宣長 (1977年)

本居宣長 (1977年)

  • 作者: 小林 秀雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1977/10
  • メディア: -



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