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日航ジャンボ機墜落事故から30年(219文字の遺書をめぐって) [ニュース・社会]

事故を回顧する記事が多数でている。毎日でも日経でも、父親を娘を息子を兄弟を亡くした人々の回想が記されている。

つい読み始めたら、止まらなくなった。事故のもつ重さゆえであろう。事故の重さが、言葉に重みをそえ、づるづると引きづられて、最期まで読みとおした。

なかでも毎日掲載の「父の219文字 抱きしめ」と題する記事。墜落しつつある機内で家族あてに、つづった河口博次さんの言葉。手帳に記した8ページ。人間追い詰められたときに発する言葉は詩に昇華するのかもしれない。

その遺書を読んだご家族、こどもさんたちのコメント、後の生きざまを知るときに、たしかに事故を継承して生きてきたのだなと感じる。いやおうなく引き受けざるをえなかったモノではあろうけれど、その重みによって後の人生がカタチづくられてきたことはまちがいない。

(以下、引用。カラー部分は、遺された手帳の言葉)

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今5分たった もう飛行機 には乗りたく ない
 
日航機がドーンという音に続いて、ダッチロールと呼ばれる迷走を始めたのは午後6時24分ごろ。(長男の)津慶さんには、この一文が最も衝撃的だった。

父はどんなことにも備える「用意周到な人」。車を運転する時は故障に備えて対応グッズをトランクに積み込むなど、リスク対策を怠らない。しかし、飛行機に乗ると自分の運命をコントロールできない。「自分の予想と違う結果になった時の父の口癖は『おれとしたことが・・」でした。飛行機に乗るという判断をしたことを、遺書では悔いていたのです。

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ママ、こんな事 になるとは残念だ さようなら 子供達の事 をよろしく たのむ

「30年はあっという間でした。・・・わたしが多くの人に伝えたいのは『いつ何が起こるかわからない』ということ。大切な人に普段から自分の思いを語ってほしい」
(妻・慶子さんの言葉)

(以上、毎日新聞8/12・15面から)

想像力を頼みの綱として日航機墜落を振り返る
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2010-08-12


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