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1:「沖縄密約」漏えい「西山事件」の顛末(毎日新聞社史から) [沖縄密約漏えい(西山)事件]

町村信孝「特定秘密保護法」自民党プロジェクトチーム座長の日本記者クラブ会見
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2014-10-08-2
のなかで、町村座長本人の口から、また、記者側から「西山事件」のことが再三話題にのぼった。

現在、「慰安婦問題」で、大揺れしている「朝日新聞」と似ているが、「沖縄密約」の(暴露)記事を掲載した「毎日新聞」は、逮捕された西山太吉記者の記事を掲載(許可)したこと等によって、首脳部の交替を余儀なくされるまでになる。(事件は、後の経営危機ともつながっているようだ。)

時の政権基盤を揺るがしかねない(暴露)記事を書くこと、国民の知る権利に応えて、それを、掲載することは、記者だけでなく、その記者を擁する報道機関にとって、危険なカケともなりかねないことを知ることができる。相手は、表面は「国民の福祉ため」と称しつつ、実は国民を欺く意志のもと、自分たちにのみ都合の良いと思われる事実を「秘密」とし、その「秘密」を隠すためであれば、国家権力を用いて(司法をも動かし)、総掛かりでくることも“ありうる”のである。


「西山事件」(沖縄密約)について語るとき、町村信孝座長はじめ、自民党・政権の面々が、常に力をこめるのは、これまでの政権の隠蔽した事実や隠蔽体質についてではなく、西山記者の“取材方法”(の不当性)についてである。

その取材手法について、当時、週刊誌等でおおきく扇情的に取りざたされたようであるが、当方は、その点も含めて、当時の政権のバックアップがあったのではないかと疑いたくなる。自衛隊にも、世論誘導のために、メディアに働きかける部署があると聞くので、そのように思うのだ。

そのようにして、当時、国民の前の真に憂慮すべき問題(沖縄密約の事実隠蔽)が、“それに比し”さほど”重要でない問題(取材方法)にすり替えられ、国民の目の焦点が合わないようにボヤかされ、今日にいたっているように思われる。そして、米側の公文書によって密約の事実が明らかになった今でも、国民全体の(西山事件への)意識の低さをイイことにして、現政権下でも、問題のすり替えが継続されているように思うのだ。


実際のところ「西山事件」の“総体を”当方は知らない。それで、「特定秘密保全」に急ぐ現政権とその職務上、真っ向から対立する立場にある記者クラブとの間で、さかんに取り上げられる「西山事件」について、考えてみようと思う。

西山記者を擁して、沖縄密約記事を掲載し、ともに苦渋を味わった「毎日新聞」が、2002年時点で、どのように事件を総括評価しているのか、「『毎日』の3世紀」(毎日新聞社史)から見てみようと思う。

「『毎日』の3世紀」は、2002年の時点で創刊130年を記念して発行したもので、上質な紙を用いていて、たいへん重い。その上下2段組17ページを「沖縄密約漏えい事件」として割いている。

記事のリード部には、次のように記されている。

「1972年(昭和47)年5月15日、沖縄が日本に復帰した。これより前の同年3月、国会で社会党議員が沖縄返還協定に関して「密約がある」と政府を追及、その1週間後に毎日の政治部記者と外務省女性事務員が国家公務員法違反の疑いで逮捕された。『沖縄密約漏えい事件』である。国民の知る権利や報道・取材の自由が絡んだこの事件は最高裁で有罪が確定した。政府は一貫して密約の存在を否定したが、2000年には密約を裏付ける米側の公文書が明らかになっている」(下巻、p332)

当方自身の勉強のために、全ページを、タイプしながら考えてみたい。

カテゴリー[沖縄密約漏えい(西山)事件]を新たに設け、回を改めつつ、引用したい。

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戦後日本の構造をこれほどよく示す話を聞いたことがない
(西山事件当事者談話) [沖縄密約漏えい(西山)事件]
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2014-10-09



「毎日」の3世紀―新聞が見つめた激流130年

「毎日」の3世紀―新聞が見つめた激流130年

  • 作者: 毎日新聞社
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 単行本



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