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「産経新聞」は右傾? [ニュース・世相]

昨日につづき、「産経新聞」の昨年末、目についた記事を・・・

12/21・24面に、「外務大臣就任120周年 陸奥宗光シンポジウム」の様子が掲載されている。

紙面を一面、まるまる使用してあり、「平成24年度文化庁地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」と銘打たれ、広告欄には、陸奥の出身地である和歌山県のこれからの文化事業等の宣伝も出ている。

シンポ出席者は、岡崎久彦、北岡伸一、御厨貴、松平定知、北野充、仁坂吉伸の面々。〈ちなみに司会者は、須磨佳津江(元NHKアナウンサー)〉。

基調講演は、NPO法人岡崎研究所理事長 岡崎久彦。


見出しを追っていくと・・・

基調講演 〈極めて近代的な人間だった〉

シンポジウム 〈「国民のため」外交に奔走〉

*筆まめで妻に100通

*外務省の体制動かす

*希代の仕事師

*今の課題は朝飯前

*仲間となる国を

と、ある。


そのなかで、岡崎久彦の発言がなかなか勇ましい。

「ですから、今は、まず集団的自衛権の行使を可能にし、日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)で危機の対応を固めることです。そうすれば尖閣だろうとなんであろうと処理できます。」

と、いった風である。

(ちなみに、この「日米ガイドライン」を英語ではズバリ
”War Manual”戦争のマニュアルと表記するのだそうです)

この人物はなにものだろう。岡崎研究所とは、何を研究しているのか、と思いつつ、12/26付「産経」を見ていたら、オピニオン欄の『正論』に、同氏が、〈「安倍日本」どこが右傾化なのか〉と題して書いている。そこでの、岡崎の肩書きは「元駐タイ大使」となっている。

見出しを追うと、

*まだまだ平和ボケを脱せず

*右翼思想とはもう無縁の社会

*米国には日本の協力が不可欠

と、あり、本文からほんの少し抜粋すれば、「右傾化でないとすれば、正常化への過程であろうが、国際政治の現実においては、日本はまだとても正常とはいえない状態である」と記され、昨日引用した佐瀬昌盛の論議と同じく、国際標準からいえば、日本は「普通の国」ではない、というのがその主張である。

(産経「正論」記事全体は、http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121226/plc12122603160002-n1.htm


読んでいると、確かにそのとおりなのであろう、と思う。「しかし、だがな、待てよ・・」という思いも同時にするのである。国際標準と呼べるモノがたしかにあるのであろう。しかし、ソレが絶対に良いモノかどうかは、またこれ別の話である、と思うのである。

国際標準の話は、外交という現実世界の政治の話だから、哲学的な思弁にもってゆくべきではないのかもしれないが、それでも、あえて、「現在の国際標準が絶対に正しいとは言えませんよね」と一句告げたい気分になるのである。

これは、哲学的というより、エライ方たちの定める「標準」によって、エライ目に会ってきた、庶民ならではの感情が生み出す素直な言葉といえるかもしれない。

ソレは、森鴎外の「最後の一句」で、下々の娘が、エライ方々に言い放った「お上のすることに間違いはございませぬでしょうから」という言葉に近いかもしれない。

http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2006-04-12


最後の一句

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2014・10.29追記

陸奥宗光シンポジウム(東京開催)の動画を紹介

  去る平成24年12月1日、東京都の明治大学駿河台キャンパスアカデミーホールにおいて、「外務大臣就任120周年記念 陸奥宗光シンポジウム~和歌山県(紀州藩)が生んだカミソリ大臣、陸奥宗光と日本外交~」を開催いたしました。

 このシンポジウムは、明治期の藩閥体制下に政党による議会制民主主義を早くから考究し、日本のデモクラシーの礎を築くとともに、徴兵制度等の新制度を郷里和歌山でいち早く実践するなど、近代明治日本の原点を構築した和歌山が生んだ明治期の偉人『陸奥宗光』の功績を讃え、先人の偉大さ、先見の明、国家の命運を左右する外交の重要性を再認識し、日本国民としての誇りと自信を取り戻すきっかけとすべく、また近代日本の礎を築いた県人の事績を全国に発信しその声価を高め、県民の県土への愛着と誇りを育むことを目的として開催したものです。

 シンポジウム当日は、陸奥宗光の縁者にあたるNPO法人岡崎研究所理事長・所長の岡崎久彦氏による基調講演を実施した後、京都造形芸術大学教授の松平定知氏、政策研究大学院大学教授の北岡伸一氏、明治大学特別招聘教授の御厨貴氏、外務省軍縮不拡散・科学部長の北野充氏、和歌山県知事の仁坂吉伸を加え、パネルディスカッションを行いました。

http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/022100/mutsu/douga.html
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