SSブログ

正月早々古本が届く [本・書評]

元日、

『漢籍國字解全書』など届く。

そのなかの一冊『十八史略國字解』(早稲田大学出版部発行、大正13年6月2日印刷)のなかに、前所有者のメモなどいろいろ挟まれて残されていた。


ひとつは、新聞切り抜き。昭和三年三月。「紫雲荘」の署名のある「天皇中心政治と議会中心政治」。右傾団体によるとおぼしき宣伝の切り抜き。

〈民政党の綱領第一項に

「国民の総意を帝国議会に反映し、天皇統治の下、議会中心政治を徹底せしむべし」

と、あるは“日本に於いて絶対に許さるべき事柄ではない”・・〉

と、つづく。


その裏の新聞紙面の「きのふけふ」には、

「高田市役所前のお医者さん堀井竹庵(71)老、平生奇行家で名を賣ってゐたがこの間『香典を死んだ後でもらってもしやうがない。生きてゐる中に・・・」といふので親類知人に死亡通知を出した、処で偶然にも悔やみの人が来る頃には先生ほんとうの病人になってしまったが『これも定命』とばかり徹底したもの・・・」

という記事が出ている。

また、広告として「クルミナコ郎太金」というのが出ている。表記が逆である。絵があったので、すぐわかったが、「金太郎コナミルク」。「純国産高級粉乳 札幌・大日本乳製品株式会社」の説明もあった。


もう一つは、「明治大学文学部復活のため・・・」と、添え書きのある、

「都下八大学音楽大演奏会」のチラシ。

「昭和3年12月8日時事新報社講堂」と日時が記載されている。

明治大学マンドリンクラブの指揮者は古賀正男になっている。


便箋3枚。大学で出題された設問を書き写したものらしく、達筆である。

四つ折りにしたその表に

〈「かんしゃくを起こさずに 勉強せよ」 浅草の観音様がそう言いました・・・〉

と、記されてある。


また、鋭利なナイフで切り取ったのであろう、白文のまま読み下せるよう自ら訓練するため、漢文の返り点等を隠し、14x7文字分の漢字だけが見えるようにマスを開けたものが残されてあった。


前の持ち主の人柄が偲ばれる。


本そのものは、ぼろぼろで、ちょっと触るのもはばかられる具合なのだが、ホコリを払って、背表紙を糊付けして、表紙を貼って、読もうと思う。


漢籍國字解全書 各巻構成

http://www.rockfield.net/kanbun/congshu/kokujikai.htm

「近代デジタルライブラリー」

http://www.rockfield.net/kanbun/congshu/kokujikai.htm






nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

トラックバック 0