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「数学を理解するということ」深谷賢治 [本・書評]

図書館の雑誌閲覧室をぶらぶらしていたら、面白い論考をみつけた。

そもそも、『週刊東洋経済』の「グロービッシュ」関連記事を見にいっただけのことなのだが、このような余分の思わぬ発見をするところが、図書館を徘徊する醍醐味でもある。


当方は、数学ができないが、数学について見聞きするのが好きというヘンな人間なのだが、そのヘンな性分に発動されて、『現代思想』を手にした。9月号には、現代数学が特集されている。

そのなかの「数学を理解するということ」という深谷賢治(幾何学)さんの論考がオモシロカッタ。

七次元の球面の話しなどが出てくるが、将棋の棋譜、楽譜、「風が吹くと桶屋がもうかる」など多くの例えを用いて書いている。

だから簡単かというとそうでもないのだが、それでも、最後まで読ませるだけの力があり、また、繰り返し読ませるだけの力もあった。

「要約してみろ」と言われると、たいへん困るのだが、それでも、「数学の推論は、日常生活でおこなわれている推論と異なる。三次元の世界で生活している身体をもつ人間の日常の推論と七次元について考慮するような数学的推論が異なるのは当然というような話しだ」と、あやしげではあるが、それでもわかったように思えるところだけは一応言える。

(深谷さん。とりあえず、そんなところで勘弁しておいてください。)

それでも、さらに繰り返し読んで、「数学を理解するということ」についてより深く考えてみたいと思える論考であるのは事実であり、ソノヨウナ論考に出会えたことは仕合わせなことだ。


おなじく『現代思想』冒頭には、上野千鶴子さんの森毅さんへの追悼文が掲載されていた。

ちょうど今、「寄り道して考える」という森毅・養老孟司の対談本を読んでいたのだが、

その記事に出会えたのも仕合わせなことであった。


週刊 東洋経済 2010年 9/18号 [雑誌]

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2010/09/13
  • メディア: 雑誌



現代思想2010年9月号 特集=現代数学の思考法 数学はいかにして世界を変えるか

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  • 作者: 小島 寛之
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2010/08/27
  • メディア: ムック



寄り道して考える PHP文庫 (PHP文庫)

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  • 作者: 養老 孟司
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2004/06/01
  • メディア: 文庫



数学者の視点 (岩波科学ライブラリー (35))

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  • 作者: 深谷 賢治
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/01
  • メディア: 単行本



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