『多読術』(松岡正剛著) [読んでみたい本]
松岡正剛の「千夜千冊」のサイトを知ったとき、
いきなり禁じ手のツキをくらったように感じた。
喉元に入ってゲーッというアンバイだった。
http://plaza.rakuten.co.jp/isissenya/
世に本好きは多いものの、自分の読書の足跡をこれほどまでに精妙に残した人を他に知らない。
読んだ数を誇っても、それらの知識が雲散霧消ではコマル。
しかし、このお方は、そうではないだろうと感じた。
実際のところ、記述して、仮にソレでオシマイであったとしても、現に残ったものがあるのだから、あとで、自分の読書の精妙さにモンダイがあったとしても、瑕疵は瑕疵として、それはそれでおおきな財産であろうと思った。
そういえば、大江健三郎さんも、読後、読書カードをつける習慣を子どものころから守っていると聞いた。
やはり、積み上げられた厚みのある知をきずくためには、読んで書庫に納めておくだけではダメなのだ。
ハナシがそれたが、ソノ当方にとって「ゲーッ」の松岡正剛氏が、『多読術』なる本を上梓した。
「千夜千冊」のブログ上に、傍線を引かれた本たちの写真が登場するが、氏の思考の足跡を暗示して悩ましい。
このたび上梓された書籍に、氏の精妙な読書の方法がいくらかでも直接開示されてあるのかと思うとワクワクする。
以下は、本日(6・7)日経新聞に記された当該書籍の書評である。
表題は「編集者が語る本との接し方」
評者の氏名は出ていない。
以下に全文紹介する。
***************
本好きにとって、本の購入費用の捻出や置き場所の確保が問題なのは間違いないが、最大の悩みは、限られた時間のなか、どうやったら読みたい本を読み切ることができるのか、一冊でも多くの本を読めるのかに尽きよう。
情報収集を目的に読み飛ばすだけなら、よくある速読術のノウハウ本に頼ってもいい。しかし、そうした読み方ではほとんど何も頭に残らないし、大抵良い本ほど読み飛ばしにくい構造になっている。そもそも速読術を説く人たちは本当に本好きといえるのだろうか?そう考えてみると、真の本好きによる読書術として、本書の価値が大きいことがよくわかる。
著者が説く読書術、例えば本はテキストが入っているノートと考えればよい、自分の好みを大切にする、といった本との向き合い方は、いずれも地に足のついたアドバイスで、これから本をもっともっと読みたいと考えている読者には大いに参考になるだろう。インタビュー形式で書かれている本はともすると安っぽくなったり、読みにくくなったりするケースも散見されるが、本書の場合は聞き手も語る側も編集者という「特殊事情」もあってか、質問、間合いともよく練られていて、読んでいて心地よい。
子どものころからの著者の読書遍歴も丁寧に紹介されており、もうひとつの読みどころになっている。
(ちくまプリマー新書・800円)
いきなり禁じ手のツキをくらったように感じた。
喉元に入ってゲーッというアンバイだった。
http://plaza.rakuten.co.jp/isissenya/
世に本好きは多いものの、自分の読書の足跡をこれほどまでに精妙に残した人を他に知らない。
読んだ数を誇っても、それらの知識が雲散霧消ではコマル。
しかし、このお方は、そうではないだろうと感じた。
実際のところ、記述して、仮にソレでオシマイであったとしても、現に残ったものがあるのだから、あとで、自分の読書の精妙さにモンダイがあったとしても、瑕疵は瑕疵として、それはそれでおおきな財産であろうと思った。
そういえば、大江健三郎さんも、読後、読書カードをつける習慣を子どものころから守っていると聞いた。
やはり、積み上げられた厚みのある知をきずくためには、読んで書庫に納めておくだけではダメなのだ。
ハナシがそれたが、ソノ当方にとって「ゲーッ」の松岡正剛氏が、『多読術』なる本を上梓した。
「千夜千冊」のブログ上に、傍線を引かれた本たちの写真が登場するが、氏の思考の足跡を暗示して悩ましい。
このたび上梓された書籍に、氏の精妙な読書の方法がいくらかでも直接開示されてあるのかと思うとワクワクする。
以下は、本日(6・7)日経新聞に記された当該書籍の書評である。
表題は「編集者が語る本との接し方」
評者の氏名は出ていない。
以下に全文紹介する。
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本好きにとって、本の購入費用の捻出や置き場所の確保が問題なのは間違いないが、最大の悩みは、限られた時間のなか、どうやったら読みたい本を読み切ることができるのか、一冊でも多くの本を読めるのかに尽きよう。
情報収集を目的に読み飛ばすだけなら、よくある速読術のノウハウ本に頼ってもいい。しかし、そうした読み方ではほとんど何も頭に残らないし、大抵良い本ほど読み飛ばしにくい構造になっている。そもそも速読術を説く人たちは本当に本好きといえるのだろうか?そう考えてみると、真の本好きによる読書術として、本書の価値が大きいことがよくわかる。
著者が説く読書術、例えば本はテキストが入っているノートと考えればよい、自分の好みを大切にする、といった本との向き合い方は、いずれも地に足のついたアドバイスで、これから本をもっともっと読みたいと考えている読者には大いに参考になるだろう。インタビュー形式で書かれている本はともすると安っぽくなったり、読みにくくなったりするケースも散見されるが、本書の場合は聞き手も語る側も編集者という「特殊事情」もあってか、質問、間合いともよく練られていて、読んでいて心地よい。
子どものころからの著者の読書遍歴も丁寧に紹介されており、もうひとつの読みどころになっている。
(ちくまプリマー新書・800円)