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木曽駒ケ岳に登ったときのこと [自然に親しむ]

日テレで木曽駒・千畳敷カールの中継をしている。

【「山の日」中継】木曽駒ヶ岳に多くの登山客
https://news.yahoo.co.jp/articles/849b80f6e79b996e8c42cf2bdcf7c6415f2de087


30年以上前になる。当方は、南の駒ケ根市側からではなく、木曽側から権兵衛峠を利用して木曽駒に登った。4月か5月の頃で、まだけっこう雪が残っていた。

作業用のヤッケにキャラバンシューズといういでたちで、家内と一緒に登った。首にはタオルを巻いて、いくら登山を始めたばかりとはいえ、ひどい格好だった。

木曽平沢にあった自宅借家の裏山を登って山にアテられ、あちらこちら出かけるようになった。まだ何の知識もない頃だった。

山頂まで誰にも会うことはなかった。クマを捕獲する鉄製のオリが置かれていたのを覚えている。北側ルートは一般ルートではなかった。やはり千畳敷カールのある方が人気で、権兵衛峠から入るのは人よりクマの方が多かったかもしれない。

登りきると女性がいた。ゴアテックスの上下スーツにスパッツ、アイゼン姿だったと記憶する。ピッケルも持っていた。

女性から「そちらに行くと雪庇(セッピ)ですよ」と注意された。

雪庇という言葉を当時知っていただろうか。ただ、危険なのだなと了解はできた。

今から思うと不思議である。開けた山頂部に女性ただ一人である。親しく話したという記憶はなく、離れた距離で、こちらはうなずいただけだったように思う。まるで夢のようである。女性は背のすらりとした美人だった。

注意されなければ、山の知識の浅い夫婦は雪庇の先まで歩を進め、雪とともに崩落し死んでいたかもしれない。

雪が太陽にきらきらするような昼間であったから、まったく怖いなどと思うことは無かったが、今から思うとちょっと怖い。

怖いのは雪庇ではなく、その女性である。

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