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溝口健二監督『噂の女』田中絹代主演 1954年を見る

溝口健二監督『噂の女』田中絹代主演 1954(昭和29)年を見る。

Woman of The Rumor
https://www.youtube.com/watch?v=Z-nPyIPzick&t=330s

驚きである。こんなモダンな映画を戦後すぐの時期につくっていたとは・・

音楽を黛敏郎が担当している。あくまでも印象にすぎないが、1958年製作『死刑台のエレベータ』のマイルス・デイヴィスを起用したことに匹敵するように思う。しかも、それよりも前である。その音楽の斬新さに驚く。
https://www.youtube.com/watch?v=YlSGNvtvGVU

ところが、映画の中身は、日本の伝統、必要悪ともいうべき「廓(くるわ)」の世界である。

多くの大夫をかかえる老舗遊郭「井筒屋」の女将(田中絹代)は、面倒見がいい。他の店に移っていった女たち、逃げ出した女たちも、いずれ女将のもとに逃げ帰ってくる。女将は、行き場のない女たちを囲って稼がせてきた。その娘(久我美子)は自分の家を嫌っているが、その御かげで大学教育を受けることもできた。母親が病気のとき、座った帳場が落ち着きのいい居場所であることに気づいて愕然とする。

その母親と娘が、同じ男を好きになってしまう。

そのあたりの葛藤が描かれる。

溝口は世界に冠たる映画作りを明確に意識して作っていたのだろう。劇中劇として狂言『枕物狂』が挿しはさまれたりする。まさに日本の伝統文化である。伝統と斬新、伝統と破壊・・。

そうした意識の高さは、作品の質の高さにおのずと繋がるのだろう。

以下は、ヴェネツィア国際映画祭での日本映画受賞作品。

1951年 - 黒澤明監督『羅生門』が 金獅子賞を受賞。
1952年 - 溝口健二監督『西鶴一代女』が国際賞を受賞。
1953年 - 溝口健二監督『雨月物語』が銀獅子賞を受賞。
1954年 - 黒澤明監督『七人の侍』と溝口健二監督『山椒大夫』が銀獅子賞を受賞。

ヴェネツィア国際映画祭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%84%E3%82%A3%E3%82%A2%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%98%A0%E7%94%BB%E7%A5%AD#%E4%B8%BB%E3%81%AA%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%97%E3%81%9F%E5%8F%97%E8%B3%9E


中国のTVドラマ「宮廷画師 郎世寧」を見ながら思ったこと
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2015-04-14


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