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山本嘉次郎監督映画『良人の貞操』 [ドラマ]

良人の貞操
https://www.youtube.com/watch?v=uyq91IA73ds&t=4378s

吉屋信子の原作で、くりかえし映画化、テレビドラマ化されてきた作品だそうである。

ここのところ、いろいろ戦前・戦後の映画を見てきたが、この手のドラマは苦手である。最初の主題曲からして、ムムッとする。いわゆるメロドラマに類するものらしい。

ウィキペディアには〈メロドラマ (melodrama) は、演劇や映画のジャンルの一つで、一般に感情の起伏を誇張した感傷的な恋愛劇を指す[1]〉と、ある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AD%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E

そうであるなら、田中絹代主演『婦系図』も、その系列で、もっと「感情の起伏」が誇張されていると思うが、それほどムムっとしなかったのは、なぜだろうと思う。泣く場面も多々あるが、それ相応のものとして共感できたからだろうか。当該映画の主人公たちより、もっと明治期の女性の方が、ある意味、本質的にサッパリしているからだろうか。これは検討課題としておこう。

昨日の更新で、クナッパーツブッシュのワグナー演奏について少しふれた。ヴァイオリンでもパールマンかクレメールかというとパールマンは苦手である。誇張された表現はどうもダメなようである。ヴァイオリンなど、本来的には「歌う」演奏がフツウなのだろうが、あまり歌われると「どうも・・」という感じになる。当方の感覚の方が、もしかするとフツウでないのかもしれない。

話がすこし逸れた。『良人の貞操』は、人間(の弱さ:罪深さ)を描く映画として良くできた作品ではなかろうか。夫婦は、妻の親友と親族との媒酌人となる。その後、夫を失くして独り女の子を育てる女性に同情し、夫婦は身元引受人となる。近くに住むようになった女性と夫のあいだに恋愛感情が育っていく。その関係を「猫とかつぶし」と周囲は疑い妻に伝えるが、妻はその疑念をはねのけようとする。しかし、それが現実となっていく。妻の親友も夫も共に関係をふかめることに罪悪感をおぼえているが、どんどん進んでいってしまう。その(今日的にいえば不倫)関係が、妻や親族その他にもたらす波紋、そして、女性自身が行き場を失っていく様相がしめされる。「末路哀れ」である。


カツドウヤ自他伝 (1972年)

カツドウヤ自他伝 (1972年)

  • 作者: 山本 嘉次郎
  • 出版社/メーカー: 昭文社出版部
  • 発売日: 2020/12/11
  • メディア: -




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