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日本学術会議をめぐる宮台真司の発言がオモシロイ [政治・雑感なぞ]

日本学術会議をめぐる騒動について社会学者:宮台真司の発言がオモシロイ。

ユーチューブで、その発言を聞くことができる。

【宮台真司x青木理】字幕あり:日本学術会議問題・任命拒否の意味
https://www.youtube.com/watch?v=ffE5ShB9fqY

以下のように始まる。

学術会議の設立趣旨はね、大政翼賛の反省なんですね。したがって、政府に対してですね、そういう観点から掣肘、つまり諮問をするっていうね。そういうために、存在している機関なんですね。したがって、政府を翼賛するための機関ではないんです。だから場合によってはですね、国家の向かう方向性、それが政策を見る限り間違っているんではないか、っていうふうに、意見を学術会議として出すっていうことがね、実は政府によっても求められている、っていう構図になっているんですよね

「翼賛」」の意味を調べていたら、宮台氏も名を連ねる『言論、報道、表現者の会』のページがヒットした。そこには、「翼賛体制」について、次のように示されていた。

「翼賛体制」というのは、狭い意味では、日本の太平洋戦争下における一国一党組織である大政翼賛会を中心に、軍部の方針を無批判に追認し、国民を戦争に総動員した体制のことです。
https://hanyokusan.wordpress.com/%e7%bf%bc%e8%b3%9b%e4%bd%93%e5%88%b6%e3%81%a8%e3%81%af/


要するに、戦時中、軍事政権を支持し、その「方針を無批判に追認し」、大衆を先導誤導した過去の反省に立って、政府のご意見番として設立された学者たちによる国家機関が日本学術会議であるということだ。

当該ブログで先に記したように、唐の太宗皇帝が、自分に対して諫言を申し述べる役職を置いたのと同じ趣旨である。ところが、現政権は、反対意見を言いそうな人を名簿から外した。それでは、設立趣旨に反した行動になる。
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2020-10-12-1

そしてさらに、宮台氏は、日本学術会議そのものも、全体として十分にその役割を果たしてきてはいない。形骸化していると指摘する。


宮台氏は、動画のなかで、日本の共同体論を展開してもいる。以前は、日本社会はこうであったが、今はこうなってしまったと論じている。それは、エリートに対する見方だ。以前は、エリートに対する大衆の敬意があり、エリートは、その期待に沿って行動しようと努めた。双方向の関わり合い、役割分担があった。ところが、現在は、エリートは自分の利益を追求するのみになり、大衆は彼らを叩いて憂さ晴らしをする存在になり果てている。社会的分断が深刻化している。

そうした傾向を、「反知性主義」として括ることができるという。その傾向は世界的であり、ジョージ・ブッシュが大統領になれたのも、トランプが政権を取れたのもその、その影響が大きい。知的に優れた者を退け、知力面で劣る(と思われる)者を大衆は応援する動きとしてそれは現われる。その結果、世の中がどんどん劣悪な方向に進んでいく。

宮台氏は、知的選良と大衆との双方向的な良い関係(役割分担)をしめす点で、自分の師匠である小室直樹博士のことを引き合いにだしているが、当方は、東京裁判でただひとり絞首刑になった文官:広田弘毅のことを思い出した。広田は総理大臣になったが、戦争を止めることができなかった責任を甘んじて受けいれる。広田は石工(石屋)のせがれだった。石工(石屋)のせがれは石工になるのが当たりまえの時代だ。それが、たいへん頭脳優秀なので、近隣の人が応援してくれて勉学に励み、進学することもでき、東京帝大に入る。そして後に、総理大臣になる。

本来、社会はいろいろな人が、自分の役割を果たす中で機能し調和して動いていくものだと思うが、どんどんその調和が失われている。自分の責任役割を果たして他に奉仕することよりも先に、自分を利することを求める傾向が、社会の分断に拍車をかけているように思う。

宮台氏の動画のコメント欄への投稿を見ると、その分断がいよいよ深刻になっているのが分かる。


靖国神社合祀分祀の決定権は神社側に
https://bookend.blog.ss-blog.jp/2006-08-03-1


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