〈GDP600兆円達成〉の大看板は、横浜のビルのように傾くカモ・・(今井賢一・一橋大学名誉教授の話から) [経済関連]
以下、『風知草』(「毎日新聞」連載)から記す。
ゆえに、『風知草』筆者:山田孝男のウケウリである。
山田は、今井賢一・一橋大名誉教授の話を聞いて書いている。ゆえに、当方のは孫ウケである。
本日の『風知草』のテーマは GDPでは すくえないとなっている。
記事全体を“当方なりに”マトメルなら・・・
今井教授によれば、GDPは経済測定指標として「時代遅れ」であり、21世紀(ポスト工業化社会の今日)の経済を「測れない」。にもかかわらず、〈GDP=幸福拡大〉という前提を疑わぬ経済政策(GDP600兆円達成)が打ち出され、また、〈GDP=幸福拡大〉という前提を疑わぬ批判(具体策がないという)がなされている。〈GDP=幸福拡大〉という前提そのものを疑い、切り崩し、確かな土台を据えたうえで、経済政策をうちだし、また、批判すべきではないか・・・
・・・と、マトメルことができそうだ。(「つづく」部分に全文掲載)
記事を読みながら、イイカゲンな土台施工のもとに建てられ傾いた横浜のマンションを想起した。いっくら、美しく、新しい建物であっても、土台がダメでは、いつか、必ず「底が知れる」。「見掛けダオシ」ということになる。
日本経済も、〈GDP600兆円達成〉の大看板のもと、地震もないのに、みずから傾くということにならんよう。まずは、土台に確かに杭が届いているのか、確かめてみてからにした方がいい。
そもそも、先に投じられた「三本の矢(杭)」は土台にまで達しているのかね?
以上、経済に暗い者の孫・ウケウリ。
***********
前提を疑え!『鏡映反転』(岩波書店発行)
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05
傾きマンション、杭施工記録に改ざんの跡 旭化成子会社
http://www.asahi.com/articles/ASHBG4VXPHBGULOB014.html
風知草:GDPでは すくえない=山田孝男
毎日新聞 2015年10月19日 東京朝刊
ザルで水はくめない。GDP(国内総生産)で暮らしの質は測れない。そもそも、一国の経済を単一の指標で評価すること自体が誤りだ−−。経済学の権威がそう言っている。
◇
今井賢一・一橋大名誉教授(84)は日本の産業組織分析が専門である。日本企業が世界を席巻した1980年代、その研究は国際的にも注目された。
のちに米スタンフォード大教授。今夏亡くなったノーベル経済学賞候補、青木昌彦・同大名誉教授とも親しい間柄だった。
その今井によれば、GDPでは21世紀経済は測れない。なぜか−−。
GDPとは、金額で表示された生産物やサービスの総和だ。その拡大は、20世紀には経済の成長・発展にほぼ対応していたが、21世紀はそうはいかない。インターネット化が進み、無料の生産物やサービスが普及したからである。
たとえば、電話の代わりに「スカイプ」(ネット電話=無料)を使えば、電話サービス企業のもうけが吹っ飛び、GDPは減る。だが、それで社会が貧しくなるわけではない。
つまり、経済活動が、以前と同じか、むしろ活発化しているのに、GDPは縮む傾向にある。それが21世紀経済の本質だ。
この矛盾を見据え、新しい経済測定指標を探る米マサチューセッツ工科大(MIT)の学者たちの取り組みは「ザ・セカンド・マシン・エイジ」(日経BP社新刊)に詳しい。本の表題は、ネット社会到来を「第二の産業革命」と位置づけたものである。
GDPは時代遅れ−−だと今井が考える理由は、それだけではない。
今井は日経新聞8月7日朝刊「経済教室」に寄稿した。「戦後70年/日本の強みは」というテーマに対する今井の答えは「自然資本と宗教」だった。
資本とは、20世紀の常識に従えば、製品を生み出す工場、機械、インフラ、カネである。だが、ポスト工業化社会の今日、人はしばしば製品より快適な環境に価値を見いだす。
だとすれば、従来、経済学では顧みられなかった河川、森林、野生生物などの価値を「自然資本」と位置づけていい……。
「自然資本」は2012年に出た国連「包括的な豊かさに関する報告書」の重要な柱である。自然が破壊し尽くされず、むしろ維持され、成長している−−という価値尺度において、日本は国連統計の最高ランクに位置している。
自然との共生はもとより日本の伝統だが、経済活動の基盤をなす社会規範として自覚を深める。それを今井は「宗教」と言っているようだ。急速に思いが高じた理由は何か。私の質問に今井は答えた。
「日本はマニュファクチャリング(製造業)が強かったから(そもそも資本とは何かというような)基盤の話はやりにくかった。でも、時代は変わった。経済学も応用工学みたいなことばかりやってちゃダメですね。基礎をもっと掘り下げないと社会科学として意味がないと思うんだ」
◇
安倍晋三首相が「GDP600兆円達成」を経済政策の目標に掲げたのは、自民党総裁再選後の会見(9月24日)だった。
それに対し、具体策がないという批判が出た。政府も、政府批判も、<GDP拡大=幸福増大>という前提自体は疑わぬ20世紀調である。底流を読む発信がほしい。首相の看板は「美しい国」「新しい国」だったはずだ。
(敬称略)=毎週月曜日に掲載
ゆえに、『風知草』筆者:山田孝男のウケウリである。
山田は、今井賢一・一橋大名誉教授の話を聞いて書いている。ゆえに、当方のは孫ウケである。
本日の『風知草』のテーマは GDPでは すくえないとなっている。
記事全体を“当方なりに”マトメルなら・・・
今井教授によれば、GDPは経済測定指標として「時代遅れ」であり、21世紀(ポスト工業化社会の今日)の経済を「測れない」。にもかかわらず、〈GDP=幸福拡大〉という前提を疑わぬ経済政策(GDP600兆円達成)が打ち出され、また、〈GDP=幸福拡大〉という前提を疑わぬ批判(具体策がないという)がなされている。〈GDP=幸福拡大〉という前提そのものを疑い、切り崩し、確かな土台を据えたうえで、経済政策をうちだし、また、批判すべきではないか・・・
・・・と、マトメルことができそうだ。(「つづく」部分に全文掲載)
記事を読みながら、イイカゲンな土台施工のもとに建てられ傾いた横浜のマンションを想起した。いっくら、美しく、新しい建物であっても、土台がダメでは、いつか、必ず「底が知れる」。「見掛けダオシ」ということになる。
日本経済も、〈GDP600兆円達成〉の大看板のもと、地震もないのに、みずから傾くということにならんよう。まずは、土台に確かに杭が届いているのか、確かめてみてからにした方がいい。
そもそも、先に投じられた「三本の矢(杭)」は土台にまで達しているのかね?
以上、経済に暗い者の孫・ウケウリ。
***********
前提を疑え!『鏡映反転』(岩波書店発行)
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05
傾きマンション、杭施工記録に改ざんの跡 旭化成子会社
http://www.asahi.com/articles/ASHBG4VXPHBGULOB014.html
風知草:GDPでは すくえない=山田孝男
毎日新聞 2015年10月19日 東京朝刊
ザルで水はくめない。GDP(国内総生産)で暮らしの質は測れない。そもそも、一国の経済を単一の指標で評価すること自体が誤りだ−−。経済学の権威がそう言っている。
◇
今井賢一・一橋大名誉教授(84)は日本の産業組織分析が専門である。日本企業が世界を席巻した1980年代、その研究は国際的にも注目された。
のちに米スタンフォード大教授。今夏亡くなったノーベル経済学賞候補、青木昌彦・同大名誉教授とも親しい間柄だった。
その今井によれば、GDPでは21世紀経済は測れない。なぜか−−。
GDPとは、金額で表示された生産物やサービスの総和だ。その拡大は、20世紀には経済の成長・発展にほぼ対応していたが、21世紀はそうはいかない。インターネット化が進み、無料の生産物やサービスが普及したからである。
たとえば、電話の代わりに「スカイプ」(ネット電話=無料)を使えば、電話サービス企業のもうけが吹っ飛び、GDPは減る。だが、それで社会が貧しくなるわけではない。
つまり、経済活動が、以前と同じか、むしろ活発化しているのに、GDPは縮む傾向にある。それが21世紀経済の本質だ。
この矛盾を見据え、新しい経済測定指標を探る米マサチューセッツ工科大(MIT)の学者たちの取り組みは「ザ・セカンド・マシン・エイジ」(日経BP社新刊)に詳しい。本の表題は、ネット社会到来を「第二の産業革命」と位置づけたものである。
GDPは時代遅れ−−だと今井が考える理由は、それだけではない。
今井は日経新聞8月7日朝刊「経済教室」に寄稿した。「戦後70年/日本の強みは」というテーマに対する今井の答えは「自然資本と宗教」だった。
資本とは、20世紀の常識に従えば、製品を生み出す工場、機械、インフラ、カネである。だが、ポスト工業化社会の今日、人はしばしば製品より快適な環境に価値を見いだす。
だとすれば、従来、経済学では顧みられなかった河川、森林、野生生物などの価値を「自然資本」と位置づけていい……。
「自然資本」は2012年に出た国連「包括的な豊かさに関する報告書」の重要な柱である。自然が破壊し尽くされず、むしろ維持され、成長している−−という価値尺度において、日本は国連統計の最高ランクに位置している。
自然との共生はもとより日本の伝統だが、経済活動の基盤をなす社会規範として自覚を深める。それを今井は「宗教」と言っているようだ。急速に思いが高じた理由は何か。私の質問に今井は答えた。
「日本はマニュファクチャリング(製造業)が強かったから(そもそも資本とは何かというような)基盤の話はやりにくかった。でも、時代は変わった。経済学も応用工学みたいなことばかりやってちゃダメですね。基礎をもっと掘り下げないと社会科学として意味がないと思うんだ」
◇
安倍晋三首相が「GDP600兆円達成」を経済政策の目標に掲げたのは、自民党総裁再選後の会見(9月24日)だった。
それに対し、具体策がないという批判が出た。政府も、政府批判も、<GDP拡大=幸福増大>という前提自体は疑わぬ20世紀調である。底流を読む発信がほしい。首相の看板は「美しい国」「新しい国」だったはずだ。
(敬称略)=毎週月曜日に掲載