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大江健三郎と村上春樹(社会へのコミットメントについて) [ニュース・社会]

「毎日新聞」(3/16p30)に

「九条の会」初の全国討論
大江さん 「7500団体で反戦努力」

という見出し。

(記事は、「つづく」部分に全文引用)

それを見て、ノーベル賞受賞者:大江健三郎は老骨にムチ打って、社会にコミットしている。だが、エルサレム賞受賞に際し、気骨のあるメッセージを発言して話題となり、ノーベル賞シーズンとなれば必ず文学賞候補として騒がれる村上春樹はどうしたのよ?・・という思いに駆られた。

それで、「村上春樹」でグーグル検索したところ、最近ネット上で質問を受け付け、読者・ファンとメール交換をしていたことを知った。(質問の受付は既に終了)

村上さんのところ
http://www.welluneednt.com/

そこを見ると、人気作家だけに質問が多く寄せられている。質問の見出しを見たところ、ミーハーっぽい(ムラカミ・ハルキだから「ムーハー」か?)やりとりばかりで、政治社会的な話はほとんどと言ってイイほどナイ。

いくつか気になる質問に目をとおしたら、当方の疑問の答えを示唆するヤリトリをひとつふたつ見つけた。

以下のような質問・回答をみると、「大江は小説家を引退したが、村上は現役だから」というのが当方の疑問の答えとなるのかもしれない。小説家は小説で自分を表現すると言いたいようではある。

それでも、小説家:村上春樹ではなく、人間:村上春樹としての「意図」「メッセージ」はあるんでしょ?と尋ねたいところだが、そこをあえて言おうとすると、無意識との折衝ができなくなってしまうのかもしれない。

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作品に込められた意図
はじめまして。モンリーと申します。
村上春樹さんの作品は学生時代から興味深く読ませて頂いております。私自身、小説を書いているのですが、村上さんの作品についてご質問させて下さい。村上さんの小説には独特の世界観がありますよね? 観念的で抽象的な部分もあると思います。読んでいる間は興味深く、読後感も好きです。何か不思議な感覚が残るんです。でもどこか捉えることが出来ない。しかし、確かにある。
そこで、お聞きしたいのですが、村上さんは作品の中で読者に向けて「このメッセージ」が伝えたかったのだということを予め明確に持った上で創作にかかられるのでしょうか? プロットを作らずに書かれるとお聞きしたことがありますが、ぼんやりとこんな世界観を作り出したいという意図があり、それが達成されて作品が仕上がるといった感じでしょうか? 
ご回答、よろしくお願い致します。
(モンリー、男性、32歳、エンジニア)

Reply
とくに意図ってないんですよね。最初なにかの断片があって、それがちょっとずつ僕の中で膨らんでいって、そのうちに物語になっていきます。すごく自然に。 テーマもメッセージも、そういうものはとくにありません。あるのかもしれないけど、僕にはわからない。僕はただ文章を使って話を書いているだけです。お役に立てなくて申し訳ないですが。

村上春樹拝

本当に作品には意図を込めていない
前に質問された方の回答で、作品に込めた意図、メッセージ等は無いと仰っていましたが、どうしても腑に落ちなくて。
私はどうしても、今の世の中の風潮に対する警告のようなメッセージを強く感じてしまいます。
村上さんは、本当に作品に意図を込めていないのでしょうか? 
(村上主義者、男性、37歳、会社員)

Reply
僕はいろんなことをほとんど無意識に書いていますが、僕という人間の中にはもちろん意図があります。意図のある僕が、あえて意図なしに書いているとお考えになるといいと思います。小説を書くにあたっては、そのへんの兼ね合いが大事なところなのです。メッセージ性が強くなると、小説は本来の勢いを失っていきます。メッセージ性がなければ、小説の意味そのものが失われます。むずかしいですね。

村上春樹拝

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オマケ

「社会にコミット」とグーグル検索したら、坂本龍一のインタビュー記事がヒットした。ところで、龍一さん元気でいるのだろうか・・

日本と未来
http://www.thefuturetimes.jp/archive/no02/sakamoto/index.html

オマケのオマケ

Q: commitmentとは、どんなイメージですか? 日本語にはない概念なので「コミットメント」とそのまま訳されることも多いですが、ジェスチャーで表現してください。
http://bookclub.japantimes.co.jp/act/Word.do?id=129


無意識と出会う ユング派のイメージ療法—アクティヴ・イマジネーションの理論と実践1

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九条の会:初の全国討論 大江さん「7500団体で反戦努力」
毎日新聞 2015年03月16日 東京朝刊

護憲派の市民団体「九条の会」が15日、全国各地の会員を集めた初めての討論集会を東京都千代田区で開き、安倍政権が憲法改正を前面に押し出す中、どう活動していくか意見を交わした。参加した約450人は、集団的自衛権行使容認の閣議決定(昨年7月)や、現在進行中の安全保障法制の整備について「憲法9条を根底から覆す暴走」と危機感を募らせた。

 戦争放棄を定めた9条の堅持を訴える同会は2004年、作家の大江健三郎さんらの呼びかけで設立。同会によると、理念に賛同する地域や職種ごとの団体は約7500あり、閣議決定撤回などを求める署名の賛同者は延べ9万人を超えた。

 集会では、作家の澤地久枝さんが「戦争のできる時代が迫っている。『戦争で得るものは何もない』という経験に学び声を上げ続けたい」、大江さんも「戦争を起こさせないため努力を続けなければならない。政府は期待できない。独自の活動を続ける(約7500の)団体に希望は託されている」と訴えた。

 会場からは「若い世代の運動と連携していくべきだ」「草の根から大きな声にしていきたい」などの意見が出た。「九条の会奈良」の岩下美佐子さん(66)=奈良県葛城市=は取材に対し、昨年12月の衆院選で自民党が沖縄県の全4選挙区で敗北したことに触れたうえで「沖縄の今の混乱を見れば、政府が市民の声に真摯(しんし)に耳を傾けていないことが分かる。おかしいと思ったことは議論を尽くしていきたい」と語った。
【山田奈緒】

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