読んでみたい本(周五郎と一郎の本) [読んでみたい本]
毎日新聞書評欄(6・30)に川本三郎が取り上げている。
きちんと先行研究に目をとおしたもので「周五郎論集成の観がある」のだそうである。
奥野健夫、上野遼、渡辺京二らとともに「佐藤忠男が高く評価されているのが注目される。佐藤氏こそ大衆文学が低く見られていた時代に名著『長谷川伸論』や『苦労人の文学』などで、純文学と大衆文学の垣根を取払った先駆者なのだから。斎藤氏(著者)は周五郎を論じながら先行する研究に敬意を払っている」
と、ある。
最後の段落は、
「氏の筆はとどまるところを知らない。若き日の周五郎が読んだ本にはイギリスの作家ゴールズワージーがあった。この作家の『フォーサイト家年代記』は美智子皇后の大学卒論のテーマである。こうした余談も楽しい。書き下ろしの力作。」
もうひとつは、一郎の本。
著者(松田 賢弥)は、小沢一郎の「妻・和子の『離縁状』をスクープした」人物なのだそうである。「淋しき家族の肖像」という副題が付いている。
http://bookend.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20
三面記事をのぞく興味というより、カネがあって一見シアワセそうに見えながらその実ソウデハナイ現代の家族の縮図のようなものが見出されるのではないかという思いがある。
きっと砂をかむようなサビシイ風景が広がってあるように思える。その向こうになにかリトルプリンスが見た夕焼けのような風景が、あるいは透けて見えてくるかもしれないという一縷の望みを抱いて読んでみたい。