『昭和16年夏の敗戦』(猪瀬直樹著) [読んでみたい本]
毎日新聞(12・23)に「猪瀬新都知事の素顔」と題して特集記事が出ている。
副題として「最多433万8936票を背景に 『変人』が挑む首都改革」とある。
読んでいると、田中角栄が総理就任したときほどではないにしても、同様の熱気を感じさせないでもない内容である。やはり、得票434万票は、たいへん大きいといえるのだろう。
当方は、作家・猪瀬直樹の良い読者ではない。良いも悪いも、全然読者ではない。それでも、副知事就任前後から、テレビなど出演している猪瀬氏の、ズバズバ直言する印象はおおきく残っている。道路公団の民営化問題あたりで、反対派とやりあっているところを見ての印象だろうと思う。
最近、選挙で取り上げられるマニフェストとその後の「総(でもないらしいが)クズレ」を見ていると、「マニフェストなんざ関係ねえや、その人間が(政党が)出来るか出来ないかだけ!」という気持ちにもなってくる。
昨日の猪瀬特集記事では、「決めたことはやる」との副題もついていて、猪瀬直樹の信条として取り上げられている。なんでも、今年、東京マラソンを完走し、その後も練習として、月80キロのノルマを自らに課し、雨のなか傘をさしてでも走っているのだそうである。
たしかに、仕事をしてくれそうな予感はある。ただ、猪瀬氏の「ズバズバ直言」し「決めたことはやる」印象は、別な言葉で言うなら「傲岸不遜」とも近似する。
(こうして書いていて思うに、当方は、どうも、「変人」は嫌いではないのだが、「変人」に熱狂的な人気が加わることに対しては、気味のワルさを感じてしまう傾向があるようである。この選挙戦中、猪瀬氏を応援するサプライズゲストとして元首相小泉純一郎も駆けつけたというから、その気味のワルさは倍加する。)
当選翌朝、報道陣に次のように語ったという。
「民意が権力を正当化する。改革をもっとスピードアップしてやってくれというのが民意。やるべきことはすぐやる」「都議会と話し合いをする時も、民意が僕を代弁しているということを尊重していただきたい」
その民意の結集で、ヒットラーの台頭が許されたことなど思うところから、気味の悪さが頭をもたげてくるように思う。
もっとも、ヒットラーとの近似を知ったなら、猪瀬氏は、かえって喜ぶかもしれない。
話が逸れた。猪瀬氏の著作のことを書くつもりであったのだ。
猪瀬氏が、「勝つ戦いしかやらないーとささやかれ」る論拠として、特集記事に紹介されていたのだ。
そこには、「猪瀬氏の初期の作品に『昭和16年夏の敗戦』がある。なぜ、日本の指導者層は負けると分かっていた対米英戦争を始めたのかを、日本型官僚組織の病理を見据えて検証した内容だ」と、ある。
「日本型官僚組織の病理を見据え」ると、何が見えるのか。それは、「負けいくさ」ということになるのだろう。「負けいくさ」の原因と今日につづく遺伝的病理も見えるのだろう。それを、顕微鏡下で、観察するとさらに何が見えるのだろう。
「勝ちいくさ」しかしないという猪瀬氏の病理もついでに垣間見えるかもしれない。
副題として「最多433万8936票を背景に 『変人』が挑む首都改革」とある。
読んでいると、田中角栄が総理就任したときほどではないにしても、同様の熱気を感じさせないでもない内容である。やはり、得票434万票は、たいへん大きいといえるのだろう。
当方は、作家・猪瀬直樹の良い読者ではない。良いも悪いも、全然読者ではない。それでも、副知事就任前後から、テレビなど出演している猪瀬氏の、ズバズバ直言する印象はおおきく残っている。道路公団の民営化問題あたりで、反対派とやりあっているところを見ての印象だろうと思う。
最近、選挙で取り上げられるマニフェストとその後の「総(でもないらしいが)クズレ」を見ていると、「マニフェストなんざ関係ねえや、その人間が(政党が)出来るか出来ないかだけ!」という気持ちにもなってくる。
昨日の猪瀬特集記事では、「決めたことはやる」との副題もついていて、猪瀬直樹の信条として取り上げられている。なんでも、今年、東京マラソンを完走し、その後も練習として、月80キロのノルマを自らに課し、雨のなか傘をさしてでも走っているのだそうである。
たしかに、仕事をしてくれそうな予感はある。ただ、猪瀬氏の「ズバズバ直言」し「決めたことはやる」印象は、別な言葉で言うなら「傲岸不遜」とも近似する。
(こうして書いていて思うに、当方は、どうも、「変人」は嫌いではないのだが、「変人」に熱狂的な人気が加わることに対しては、気味のワルさを感じてしまう傾向があるようである。この選挙戦中、猪瀬氏を応援するサプライズゲストとして元首相小泉純一郎も駆けつけたというから、その気味のワルさは倍加する。)
当選翌朝、報道陣に次のように語ったという。
「民意が権力を正当化する。改革をもっとスピードアップしてやってくれというのが民意。やるべきことはすぐやる」「都議会と話し合いをする時も、民意が僕を代弁しているということを尊重していただきたい」
その民意の結集で、ヒットラーの台頭が許されたことなど思うところから、気味の悪さが頭をもたげてくるように思う。
もっとも、ヒットラーとの近似を知ったなら、猪瀬氏は、かえって喜ぶかもしれない。
話が逸れた。猪瀬氏の著作のことを書くつもりであったのだ。
猪瀬氏が、「勝つ戦いしかやらないーとささやかれ」る論拠として、特集記事に紹介されていたのだ。
そこには、「猪瀬氏の初期の作品に『昭和16年夏の敗戦』がある。なぜ、日本の指導者層は負けると分かっていた対米英戦争を始めたのかを、日本型官僚組織の病理を見据えて検証した内容だ」と、ある。
「日本型官僚組織の病理を見据え」ると、何が見えるのか。それは、「負けいくさ」ということになるのだろう。「負けいくさ」の原因と今日につづく遺伝的病理も見えるのだろう。それを、顕微鏡下で、観察するとさらに何が見えるのだろう。
「勝ちいくさ」しかしないという猪瀬氏の病理もついでに垣間見えるかもしれない。