SSブログ

“愛弟子”の語る小沢一郎 [本・書評]

毎日新聞連載の『近聞遠見』(4・28)で岩見隆夫が書いている。

“判決の1週間前”、小沢一郎のもとで「雑巾がけ」をした石川知裕元経理担当秘書が書籍を出版していたのだという。題名は、「雑巾がけー小沢一郎という試練」(新潮新書)というものだそうだ。

「雑巾がけ」とは、政界の俗語で、基礎的な鍛錬、勉強のこと。

岩見は「小沢の実像をどんな証言よりも生々しく知ることのでき」る「雑巾がけ9年」石川による新刊を読んでの小沢人物評を試みている。というより、石川の新刊を読むまでもなく、記者として小沢という人物を長らく十分見てきた自分の小沢観を裏付けるモノとして、石川の文章を取り上げている。

まあ、簡単に言うと、小沢一郎という人物は「情が無い」ということなのだが・・・

石川の文章を引用した、その孫引用を以下にするが、陸山会事件の判決を控えたこの時期に、どんな意図で、石川が「雑巾がけ・・」を出版したのか当方にはワカラナイ。そこから、読み取れるものは、到底オヤジ・師匠・親分である小沢に有利なものとはならないと思うのだ。それとも、小沢に見られるその「情の無」さこそ、これからの日本の政治に必要なのであるとでも言いたいのであろうか。

そして、引用から読み取れるのは、オヤジ・師匠・親分である小沢の身代わりとなって収監されたのに、そのことへの感謝がちっともナイではないか・・・という恨みごとにも聞こえる文章なのだ。

たとえはワルイが・・、親分の身代わり・鉄砲玉として収監されたチンピラが、刑期を終えて出獄する際、組から丁重に扱われると聞くが、それ以下の「非情な」扱いにオモシロクナイ思いをしている石川の姿もちらつく。

一生懸命カラダをはって小沢の政治生命を守ってやったのにちっともアリガタク思っていないではないかという嘆息も感じられる。

引用されている文脈がワカラナイ。わからないけれども、ソノヨウナ思いがちらついて見える。

実際みなさんは、どう思われるだろうか・・

(以下引用)
***********

政治資金収支報告書の虚偽記載容疑で石川が逮捕されたのは10年1月15日、21日後に保釈される。だが、小沢と会う機会はない。「雑巾がけ」によると、

〈向うが慰労するのならともかく、私のほうから出向いて「ご迷惑をおかけしました」という筋合いの話でもない〉と考えたからだ。

************

(共謀は本当になされていないのだろうか?石川ら秘書たちの一存で虚偽記載をしたのなら、そのことで迷惑をかけてしまった小沢の元に出向いて謝罪するのが本来の筋である。石川の文章から推すなら、小沢の意向を受けての虚偽記載であったことが裏付けられるように思われる。)

(以下、引用をつづける)
************

〈逮捕されてから半年以上経って顔を合わせた時の小沢さんの第1声は、

「おう」

の一声だけ。内心、「『おう』じゃないよ」とツッコミを入れたが、そんなことは口に出せない。・・・冷たいものだと思われるかもしれない。私だってそう思っている。しかし、口にはしなかった。怖いというのもあるし、言っても無駄だからだ〉

************

以上の引用を受けて岩見は次のように自分の見てきた小沢像と重ね合わせる。

「特異な師弟関係である。弟子だけでなく、党、社会、国家、皇室に対する情が薄い、というのが長年、小沢を観察してきた実感だ。」

************

岩見は、情の人であった田中角栄と対照させつつ小沢を論じ、石川の新刊に言及しているが、小沢のような情の無い人物は本来指導者にはムカナイ。人はついていかない。

小沢のもとに人が多数付いているように見えるのは、要するに「怖い」からであり、カネがあるからだろう。

カネが切れれば「腐れ縁」として関係は切れるはずだ。(それだから、それだけに、小沢がカネに執着するのだろう)。

西郷隆盛の逸話を思い出した。だれだったか、西郷に面会に来た人物がいる。面会にサツマイモを持参してきた。西郷の弟はソレを笑った。西郷は、弟を叱責する。「だれ某は赤貧の人だぞ。笑うとはなにごとか!」と面罵する。

だれ某氏は人づてにソレを聞く。そして、泣いたという。そのだれ某氏は、西郷と最後まで行動を共にしたという。

親分とはやはりソノヨウナ情の厚さによって人を束ねていく人物だと思う。

やはり、小沢は、指導者にはムカナイ。

************


西郷と死ぬまで行動した「だれ某」とは桐野利秋(中村半次郎)のこと。

以下、羽柴茶茶さんのブログに詳述されています。

http://indoor-mama.cocolog-nifty.com/turedure/2010/09/post-01c2.html



雑巾がけ: 小沢一郎という試練 (新潮新書)

雑巾がけ: 小沢一郎という試練 (新潮新書)

  • 作者: 石川 知裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/04/17
  • メディア: 新書



悪党―小沢一郎に仕えて

悪党―小沢一郎に仕えて

  • 作者: 石川知裕
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2011/07/07
  • メディア: 単行本



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0